毎年京都市内のみやこめっせ(京都市勧業館)で開催されるBitSummitは、今年13回目を迎えたインディーゲームの日本最大の見本市です。インディーゲームとは、大手のゲーム会社(パブリッシャー)が企画・制作したものではなく、個人や小さなグループが制作した個性あぷれるゲームのこと。昨年からは、フロア全部を借り切って開催されるほど大規模になっています。また、大手ゲーム会社なども、8番出口などのインディーゲームのヒットもあって、積極的に出展しています。
みやこめっせの入り口のBitSummitゲームジャムの看板。これだけ見ると小規模っぽいですが、総来場者数は58000人超とのこと(ゲームメーカーズ記事より)。
このBitSummitでの展示を目指して、京都・大阪・東京などの大学・専門学校の学生たちが、学校の枠を超えてチームをつくり、約3か月でゲームを制作するBitSummitゲームジャムに、今年も本学の学生が参加し、アニメーション学科の教員が支援をしました。
今年は、京都・大阪の大学・専門学校の混成チームが16チーム、東京国際工科専門職大学の学生を中心とする東京のチームが8チーム、全体で200名以上が参加するとても大規模なゲームジャムです。アニメーション文化学部の卒業生で、現在本学大学院社会科学研究科に在籍する王勇くんが3DモデラーとしてW13に、アニメーション学科の教員1名(このブログの筆者です)がW10とW13のメンター(助言者)として参加しました。とはいえ、メンターと言いながら、チームがしっかりできてからは学生たちが自分で考え議論し決めて、専門家の助言も得ながら着実にゲームを制作していくということで、筆者は会議に参加してROMる伴走者という役割でした。それぞれに新しい挑戦があったのでなかなかたいへんな開発だったようでしたが、最後までみんな健康を崩さず、最後までやり抜いて、賞は逃したものの、たくさんのお客さんが思いっきり作品を楽しんでくれたので、筆者的には成功だったと思っています。
開発されたゲームは、次のURLで遊ぶことができます。
https://bitsummit-gamejam.itch.io/
ここで、筆者がメンターをしたチームのゲームを紹介。
W10の「CityDonuts」。「ドーナツ化現象」によって人々が邪悪なドーナツになるという怪現象が発生。ドーナツにホイップをかけて浄化して、人間の魂にもどすというゲーム。二人協力ゲームで、ペダルと巨大ボタン※でキャラクターを操作。うまく息が合えば協力がばっちりできるものの、息を合わせられないと邪魔をする形なのでちょっとたいへん。みんなキャーキャー言いながらボタンをたたき、ペダルを踏んでいました(一人のお客さんには開発者がついていっしょに操作します)。
一般公開日朝のW10の「CityDonuts」のゲーム台。これから巨大ボタンと足元のペダルスイッチを設定します。
CityDonutsのキャラクターの手作りアクスタです。このキャラクターはかわいいと評判でした。
W13の「オハライシャウト」は、正面から迫りくる現代人のストレスをマイクにシャウトして吹き飛ばすゲーム。ただし、声が大きければよいというものではなく、指定された大きさの声でなければならないのでなかなか難しい。チャンスには、ぐっとストレスを手前まで引き付けて一気に大声を出すと瞬時にストレスが消える。こちらも友達同士できてワーワーキャーキャー楽しめるゲームでした。
W13の「オハライシャウト」の遊び方説明ボード。ロゴもイラストもかわいい&かっこいいですよね。
BitSummitも特殊デバイスを使うゲームや、現代の生成AIブームを斜めに見るゲームなど、インディーゲームらしい作品が多数展示されていました。BitSummitもBitSummitゲームジャムも、来年も開催予定(2026年の開催日は5月22~24日を予定)。来年は、ゲーム世界の最先端や明日のクリエイターたちの作品を気軽に体験できる会場に足を運んでみては?
※この巨大ボタンは、岡山のIT企業株式会社ルークシステムの提供をいただきました。このボタンは同社が新しい入力デバイスを開発する中で制作したものだそうです。子どもからお年寄りまで、また手指に障害がある人もゲームを楽しみ遊べる可能性を開くデバイスですね。こうしたことから「ユニバーサルボタン」や「バリアフリーボタン」という名前で呼ばれます。どうもありがとうございました!