2011 年 11 月 16 日

産業看護実習

今年度も産業看護実習が無事終了した。
今年は41名を4回に分けて各1日ずつ行った。
実習先は例年と同じだが、今年は会社の組織変更があって、
三菱重工業(株)三原製作所」と名称が変わった。
といっても、その昔、私が非常勤産業医をしていたころも
この名称だったので、ある意味懐かしい。

また、鋳造部門が広島製作所と統合されたとのことで、
学生に最もインパクトがあった「鋳込み作業」等が、
今年から見学できなくなったのは残念だった。

そのかわり、電車のブレーキ製造工場を見学できた。
ブレーキ装置は電車の床下にあるので、我々の目に触れることはまずないが、
安全運行上、極めて重要な物であることはいうまでもない。
国内シェアの過半数を占め、取引先は、JR各社はもちろん、
全国の鉄道会社に及んでいるとのことだった。

私がこの工場を見るのは、産業医をしていたとき以来だから、二十数年ぶりだろうか。
内部は、当時とはレイアウトも変わり、新しい設備が導入されるなどして、
作業環境もかなり改善されていた。電車の警笛も製造していて、
そのテストの音を聞けたグループもあった。
すぐそばだと110dB(A)くらいあるそうで、文字通り、「騒音」であった。

有害業務としては、塗装や研磨作業を見学でき、局所排気装置の稼働状態も見ることができた。

その後、PBB(旅客搭乗橋)製造工場で、溶接作業等を見学した。
紫外線を含む強烈な光や溶接ヒュームの発生状況、
その後の振動工具の使用状況などを見学できた。
学生たちは、その時の作業者の全身を覆う保護具や保護衣の状態にも驚いたようで、
夏季の暑さは容易に想像できる。
熱中症対策を含めて、有害業務対策の重要性を学ぶことが出来た。

昼食後、玄関ホールにある展示室を見学した。
その時の写真がこれである。
通りがかりにシャッターを押して下さった社員の方、ありがとうございました。
名称未設定19

午後は、まず車両組み立て工場を見学した。ちょうど、
千葉モノレール向けの新型車両を製造中であった。
その車両の写真はホームページで見ることができる。
なかなかカッコよく、千葉に行ったら乗ってみたいものだ。

また、JR東海向けの新幹線用保守車両も製造中であった。
こんな車両に我々が乗ることはないので、
すぐそばで見られるのは、貴重な経験かもしれない。

次いで、新聞輪転機の工場に行ったが、組み立て中の輪転機がなく、
4階建てのビルほどもある威容をみることができなかった。
最後の日には、ユニットの組み立てが始まっていたので、
もう少し後から行けば、完成した、あるいは完成間近の
輪転機が見られたと思うと、ちょっと残念。

今年は、例年よりも早めに実習が終了したということもあるのだが、
4回とも暖かく、工場内を歩き回ると(万歩計の実測で8千歩前後)、汗をかいてしまった。

その後、さまざまな特殊健診の検査を体験。
今年は、例年より暖かかったので、指尖の皮膚温(振動障害診断のための検査の一つ)なども
高めだったように思う。肺機能検査には、例年通り苦戦したようで、
正しい「努力性呼出」ができず、「異常」となる者が散見された。

今年も、安全衛生グループの方々には大変お世話になった。
また、振動工具を一式揃えて、供覧できるように準備してくれるなど、
協力していただいた現場の方々にも感謝したい。
ちなみに、安全衛生の責任者は、関連学園の出身で,
加計勉名誉理事長の思い出話まで飛び出して、一気に身近に感じた。

担当教員 尾瀬

カテゴリー: 教育・研究