今年度も,地域看護実習の一環として10月から11月にかけて、
4年生全員を10人程度ずつ4回に分けて産業看護実習を行い、私が引率した。
いささか古い話になるが,学生の感想などを交えて紹介したい。
実習先は例年と同じ,広島県三原市にある三菱重工業の
「紙・印刷機械事業部」と「交通・先端機器事業部」である。
ここは旧三原製作所時代に私が嘱託産業医をしていたこともあって,
毎年無理をお願いして協力してもらっている。
また、本学卒業生2名を産業保健師として採用していただいている。
ここで生産されている製品は,
印刷機・紙工機械(段ボール製造機)・各種交通システムなどである。
詳細は各事業部のホームページを参照されたい。
オリエンテーションの後,貸与された見学者用作業着・ヘルメット・
保護眼鏡・防じんマスク・安全靴を身につけて,現場へ向かう。
今回は世界的な経済危機の影響で,工場内の作業量は例年より少なかったが、
いわゆる「有害業務」についてはほぼ例年通りの見学ができた。
見学後は,じん肺・振動障害等の特殊健康診断で行われる検査
(肺機能・皮膚温・振動覚・指尖容積脈波等)を検者・被検者として体験させてもらった。
実習の最後には,保健師(本学卒業生)との懇談の場を設け,
質疑応答を行って、産業保健師の業務を少しでも把握してもらおうと務めた。
とはいえ,短時間の実習で産業保健の全貌や産業保健師の活動状況がわかるはずはなく,
事前学習の不足を反省する者もいたが、そうした点を含め、戸惑うことが多かったようである。
それでも学生の反応は概ね好評で、講義ではもう一つピンと来なかった有害業務や、
それに対する健康障害を防ぐための様々な対策を直接見ることができたことを
よかった点としてあげていた。
まさに「百聞は一見に如かず」である。
また,緑の多い広大な工場の環境や新聞輪転機の巨大さに驚いたり,
将来実際に利用するかも知れない羽田空港向け旅客搭乗橋の製造現場に「立ち会えて」
感激したりしていた。
さらに工場内の至る所に掲示された安全管理に関する標語やスローガンも
新鮮だったようである。
最後に,いつもながら会社の方々の献身的な協力には,心から感謝申し上げます。
担当教員 尾瀬