現に夜勤をしている卒業生の皆さんには、
ちょっとショッキングなタイトルでごめんなさい。
WHOの下部組織である、
国際がん研究機関
(International Agency for Research on Cancer,IARC,アイアークと略される)は、
いろいろな発がんリスクを評価して、リスクの程度別に分類して公表している。
たとえば、「ヒトに対する発癌性が認められる」のがGroup 1で、
よく知られた発がん物質や放射線などがあげられ、
「ヒトに対する発癌性がおそらくある」のがGroup 2Aといった具合である。
最近、そのGroup 2Aに、“shiftwork(交代勤務)”が加わった。
根拠はもちろん疫学調査にある。
看護師を対象とした複数のコホート調査から導き出された。
看護師が対象になっているのは、データを集めやすいというのが最大の理由だろうが、
圧倒的に女性が多いことで、乳がんが目立ったと考えられる。
つまり、多数の同質の職業集団を長期に追跡できる対象として、
看護師以外は難しいという事情がある。
したがって、他職種でも、男性でも、乳がん以外のがんを含め、
がんのリスクがないとは言えないだろうが、
今のところ、はっきりした根拠はないようである。
夜勤をすると、サーカディアン・リズムが乱れ、
ホルモンや自律神経系に影響があることはよく知られている。
また、免疫系への影響も疑われていることから、
がんのリスクが高くなるとしても、不思議とは言えない。
発がんリスクがあるにせよ、ないにせよ、
メカニズムを含め、今後の研究が待たれる。
興味のある方は、以下のモノグラフを参照されたい。
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol98/mono98-8.pdf
尾瀬