VTuberハッカソン岡山大会 in 高梁(総合主催:株式会社PANORA, 主催:岡山Unity勉強会)、大団円です!
吉備国際大学国際交流会館で開催されたVTuberハッカソン岡山大会、参加者は徹夜でオリジナルVTuberを制作し、6チームすべてが完成させることができました。なんと今回の参加者は初心者が9割を占め、完成されられるかちょっと不安という状況でしたが、作品の完成度はそれぞれとはいえ、みなさん公開ができるところまでこぎつけました。パチパチ。
今回のチームビルドは、即興的なもの。最初に各人が企画プレゼンを行って、そのプレゼンでお互いに「この人とやってみたい」「こいつとならばオレの企画が実現できるかも」と思った人同士が、その場でチームを作ります。
もちろん中には息のぴったりなグループでやってきたチームもありますが、「VTuberが好きだ!つくりたい!」という初心者の方も多数集まった模様。しかし、それでもなんとか2日間で曲がりなりにも作品が仕上がったわけで、参加者の熱意に脱帽です。
ところで、VTuber開発は、PCの前でオリジナルキャラクターの絵を描いて動かして終わりではなく、その動きをつくるために、モーションキャプチャーツールを使って、生きた人間の動きを取り込んだり(魅力的な美少女らしい動きをつくる、とか)、VTuberの音声を録音するとか、さまざまな作業が必要です。
1日目夜は、国際交流会館多目的ホールでPCを使ってお絵描きや動画作成に取り組む人々に加えて、食堂も使って(こちらも食堂を管理する会社に使用許可をいただきました)、モーションキャプチャーに取り組む人々や、声優役の人たちに活躍してもらって録音作業を行う人々など、朝方まで休むことなく、作業が続きました。録音作業は機材もきわめて微妙なようで、少しでも磁気の少ない場所を求めて、磁気計を片手に動き回る開発者の姿も(審査員を務める、おしゃれなかっこいいお兄さんでしたが、あとで聞くと、どうも私よりも年上で、ゲーム開発企業KLabのエラい人)。また、モーションキャプチャーは、センシングを行う特別な部屋が必要なく、身軽に動けるセンサを取り付けるだけでよいのも、技術の素人には興味深かったです(岡山理科大学のゲーム開発を教える先生によると、モーションキャプチャーツールは、現在安いものだと1セットだいたい20万円くらい。これもモーションキャプチャーツールがハリウッドなどの映画製作現場から研究などの現場に普及し始めた15-20年前と比べると隔世の感です)。
こうした多数の録音機材を含めて多数の機材は、総合主催のPANORAさんの提供。VRハッカソンに対するPANORAさんの本気度を見た感じです。
翌朝になっても、最後の録音の追い込みは続き、少しでも雑音の小さい場所を求めて、宿泊室を活用するチームも。KLabさんからは、岡山や高梁で開催されるイベントには、エナジードリンクの差し入れをたくさんいただいているのですが、2日目朝には山のようにあったエナジードリンクが1本もなくなりました!ひー。参加者からは「エナジードリンク、ありませんか?」との声。もうひと踏ん張りをがんばろうというところのようです(その後、午後3時にはなんと追加のエナジードリンクを新幹線で運んできていただきました!KLabさん、どうもありがとうございます)。
開発終了の2日目午後4時半を迎え、作品公開が始まります。思い思いの個性的な作品が並びました。VTuberに詳しいゲーム開発者に聞くと、「一般的にVTuberはワンカットで作成するが、今回の作品の多くは(画面転換が多い)カット割りが多く、制作作業がたいへんだったのではないか」とのこと。一般的にVTuberは漫談風の語りや歌ってみた・踊ってみた、またはDJ風のものなど、1人のVTuberがカメラ固定で演じるものですが、今回の6作品は、ストーリー性があるアニメーションのような作品が多かったのが、確かに印象的でした。
ハッカソンは、作品発表と並んで、アイデアや作品の最終プレゼンも大事な評価のポイントになりますが、プレゼンもみなさんシンプルに要点を押さえたつくりで、学生にも見せると勉強になるなあとか、教員目線で見ていました。
さて。
厳正な審査のうえで、次の4作品が各賞を受賞しました。
KLab賞は、チーム「Dream Castle」。初心者が多数のチームながら、VR世界の旅番組というコンセプトをまとめて、3キャラを立てて構成したところが評価されたようです。KLabさんはネットゲーム開発企業で、Unityコミュニティ支援でも有名です。
写真:チーム「Dream Castle」の作品。パーティクルエフェクトやマテリアル(CGの特殊効果)活用にも力を入れたもの。
山佐賞は、チーム「レインボーレイ」。いつも雨が周りに降ってしまう「雨の少女」の物語。闇系っぽいキャラだけど、やさしいというキャラクターのギャップに加えて、わかりやすいオチも。また、ボイスチェンジャーを使って、男性だけのチームにもかかわらず、美少女キャラの声を実現しるという小技も。ちなみに、山佐さんは有名パチスロメーカーで、岡山県を代表するコンテンツ/エンターテインメント企業の一つ。KLabさんと並んで、今回のVTuberハッカソンのスポンサーでもありました。同社社員さんも司会や不慣れな初心者の技術支援などで大活躍。
写真:チーム「レインボーレイ」の雨の少女。ストーリーを持つ短編アニメーションのような作品。
upd8賞は、チーム「マクロファージ」。え?マクロファージって、白血球の一種ですよね?と思った方は、高校の生物の成績がきっとよかったことでしょう。マクロファージの名に恥じず、このチームが開発したのは「細胞系VTuber」。胃細胞が、暴飲暴食を繰り返すご主人様(自分が一部である人間)にぼやくという漫談風VTuber作品。しかし、一人漫談にもかかわらず、刺激を受けると分裂してしまい、どんどん増殖して・・・という展開。
ちなみに、upd8は、今回のVTuberハッカソン岡山大会 in 高梁のポスターやチラシなどにも登場してくれた「キズナアイ」ちゃんをはじめとするVTuberを支援するプロジェクト。キズナアイちゃんの運営企業Active8がこのプロジェクトを支援しています。今回はupd8から、VTuber開発者がプレゼンターとして来てくださいました。
写真:チーム「マクロファージ」のVTuber「胃細胞」ちゃん。合成音声でぼやき漫談を展開し、さらにちょっとした刺激で増殖。
最優秀賞は、審査員の満場一致で、チーム「サンコイチ」。美少女VTuberのあけびちゃんが、ほよほよと動きしゃべる親近感とかわいらしさ重視の作品。名前の通りの3人チーム。「オチも決まってバランスが一番よかった」と、最優秀賞プレゼンターの井上博明吉備国際大学アニメーション文化学部教授。1日目電車で現れたお二方に、この文章の中の人が高梁市の観光チラシを多数押し付けてしまい、ごめんなさい(^^;
写真:チーム「サンコイチ」のVTuber「あけび」ちゃん。ほよほよと、そして、ときに激しく?「G」との闘いについて語る。
全国の大会を勝ち抜いたVTuberハッカソン全国大会には、最優秀賞の「あけび」ちゃんが出場予定です。
その後備中まちづくり研究所に場所を移して開かれた懇親会もたいそうもりあがったそうですよ(この文章の中の人は体力の限界で懇親会前に引き上げました)。
4賞受賞作品は、下記のURLでご覧いただけます。
最優秀賞 はじめまして!あけびです。
サンコイチ
https://youtu.be/MRWcCJqxkNg
upd8賞 SAIBOU
マクロファージ
https://youtu.be/2RXzJPH-e60
山佐賞 雨の少女~レイちゃん、宇宙に行く~
レインボーレイ
https://youtu.be/_7gPx7ZSdfM
KLab賞 夢見の園
DreamCastle
https://youtu.be/bzdXF-eBIGM
ぐるみチャンネル
中野人形店
https://www.youtube.com/watch?v=IDlAiXRD8xU
カザリンチャンネル
眷属
https://youtu.be/TeDuG-cfbR8 (編集済み)
報告の詳細は、VTuberハッカソン公式Twitterアカウントをご覧ください。張り付いて中継・実況していただいた総合主催側の方、ご苦労様でした!
VTuberハッカソン、アニメーション文化学部の学生が準備・運営のボランティアとして大活躍してくれましたが、今度こそは学生が開発者として参加してくれることを願ってます。がんばれー。