現在、岡山県立美術館で開催中の「ドラえもん展」に行ってきました。
でも、誤解してはいけませんよ。これは、藤子・F・不二雄によるドラえもんの原画展でも、セル画展でもありません。
ドラえもんに関心のある現代アートの作家たちによる、あくまでも「芸術として」の「ドラえもん展」なのですから。
冒頭の絵は、ドラえもんとその仲間たちが特別なヒーローではなく、日常に暮らす小市民的キャラクターであることを想わせます。サザエさんやちびまる子ちゃんたちにしても、完全にベタな暮らしを舞台にしたあくまでも日常的な世界の作品ですよね。
ただ、あまりにハイコンテクストな世界だから、日本人の私たちには居心地がよくても、例えば異文化に暮らす欧米人には違和感しか感じさせないかもしれません。
大きくなったしずかちゃんは、自分の思わぬ成長にちょっと戸惑っているようにも感じられます。
のび太やドラえもんにはわからない、ある時期の少女に特有の感情なのかもしれません。
あの優しくて明るいドラえもんだって、思わすベロを出したくなるような時があるのかもしれませんね。あの有名なアインシュタインの舌出し写真のように。
結局「ドラえもん展」なのに、私たちが普段テレビで見ているドラえもんは、ここにはいないように思えます。それでは、ドラえもんは一体どこにいるのだろうか?
きっと「どこでもドア」の向こう側に隠れているのです。
現代作家による二次創作が今やたとえ「芸術」と呼ばれるようになったとしても、テレビの中のドラえもんは茶の間の子どもたちの前にいるだけだよって。
がんばれ、ドラえもん!
なお、今回のブログ記事では、岡山県立美術館とテレビ朝日の許可を得て、展示物の写真画像を使わせていただいています。
感謝。