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健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究

研究目的

疾病や外傷の結果として残存する障害を克服するためのリハビリテーションに関する研究は、健康寿命の延伸に直接結びつくものであるにもかかわらず、ほとんどが臨床レベルでの研究にとどまっている。

これからの研究の方向性としては、リハビリテーション効果のエビデンスを細胞・分子レベルでの解析や、コンピューターシミュレーションによるバイオメカニクス解析にまで求めていくことが重要である。本研究では既存リハビリテーション技術の解析・普及だけでなく、細胞・分子レベルでの解析を行い、リハビリテーションのエビデンスを提示すると共に、老化の仕組みや老化を抑制するメカニズム解明のための最先端基礎科学研究と、バイオメカニクス研究に基づく新しい技術開発を総合的に行うものである。
さらにリハビリテーション先端科学研究を通して、この分野で不足している基礎研究を行いうる研究者、高度専門職業人を養成する。
また、研究成果はインターネットや学術論文として広く世界に公開し、研究所を地域の健康増進の拠点として、得られた最新の知見を地域に還元していく。

研究計画・研究方法

  • プロジェクト1(基礎研究)
    細胞・分子レベルでの加齢・疾患障害の予防治療法の開発
    組織培養および動物実験を主な研究手法として加齢・疾患障害の予防治療法の開発を目指す。組織培養としては、主に加納らが開発した特殊な細胞内シグナル伝達変異細胞を利用して研究を行う。この特異な培養神経細胞は薬剤やリハビリテーションで用いられる様々な物理刺激に鋭敏に反応して、その効果検証を行えるという優れた特性を持っている。この細胞を始め、様々な細胞内シグナル伝達変異細胞を用いて分子生物学的に解析を行うことにより、加齢・疾患障害の予防や治療に効果がある薬剤や物理刺激を見いだすことが可能になる。また、我々は各種物理療法の効果を培養細胞と人工骨のハイドロキシアパタイトを用いて迅速に調べる方法を開発してきた。動物実験としてはリハビリテーションで特に問題となる廃用性筋萎縮や関節拘縮・骨粗鬆症についてモデル動物(マウス・ラット)を作成して研究を行う。
     
  • プロジェクト2(臨床研究)
    健康増進と障害予防のためのバイオメカニクス・臨床研究
    これまで生活習慣病対策と比較して対策が遅れていた運動器疾患に注目して、筋力が衰え骨関節に障害を抱える高齢者においても安全性と有効性が認められつつある Closed Kinetic Chain (閉運動連鎖)の理論をさらに探求し、これを臨床応用するために新たな評価法・運動療法やリハビリテーション機器を開発する。現在既にClosed Kinetic Chainでの評価訓練器を開発しているが、さらに電気刺激などの物理刺激の併用による運動効果を高める方策を研究する。その理論的根拠はプロジェクト1(基礎研究)の成果に求める。研究手法としては3次元動作解析、筋電図、関節音計測さらにコンピューターシミュレーションなどの手法を用いる。このようなバイオメカニクス研究の成果を基に、青少年に対してはスポーツ時の外傷予防のためのプログラム指導を行い、地域高齢者には健康教室を開催して栄養・運動指導を行い理論の検証を行う。
    2つの研究プロジェクトの連携について
    例えば、電気刺激を利用したリハビリテーションは低周波治療器による物理療法など古くより広く行われてきた。研究プロジェクト2で、新たな電気刺激のリハビリテーションへの応用方法を模索し、細胞・分子レベルでどのような電気刺激が最も生体に有効なのかという根拠を研究プロジェクト1に求める。さらに、2つの研究プロジェクトが有機的に連携したケースでは<細胞研究→動物実験→臨床研究→細胞研究>という研究サイクルをモデル化し持続的な研究を行っていく。

    健康指導の取り組み
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