これまで生活習慣病対策と比較して対策が遅れていた運動器疾患に注目して、筋力が衰え骨関節に障害を抱える高齢者においても安全性と有効性が認められつつある Closed Kinetic Chain (閉運動連鎖)の理論をさらに探求し、これを臨床応用するために新たな評価法・運動療法やリハビリテーション機器を開発する。Closed Kinetic Chain とは荷重位での下肢全体の協調性ある運動のことで、歩行やイスからの立ち上がりなど人にとって自然な運動がすべて含まれる。これらの本来人が持つ生理的なメカニズムを研究しそれを応用することで安全で効率的なリハビリテーションの方法を見いだす。
現時点では臨床研究においてClosed Kinetic Chainの理論を変形性膝関節症患者に応用した入浴エクササイズを提案し、さらにClosed Kinetic Chainでの評価訓練器を開発している(上図)。さらに電気刺激などの物理刺激の併用による運動効果を高める方策を研究していくが(下図:荷重立位周期的水平揺動刺激と筋電気刺激による筋力維持・廃用防止法)、その理論的根拠をプロジェクト1(基礎研究)の成果に求める。研究手法としては平成18年度整備のリアルタイム3次元動作解析システムを活用した3次元動作解析、筋電図、関節音計測さらにコンピューターシミュレーションなどの手法を用いる。
このようなバイオメカニクス研究の成果を基に、青少年に対してスポーツ時の外傷予防のためのプログラム指導を行い、地域高齢者には健康教室を開催して栄養・運動指導を行い理論の検証を行う。