クリエィティブフェスティバル高梁2021のタイトルイメージ。デザイン:サンコー印刷株式会社。
小学校でプログラミング教育が始まり、テレワークでの活用も進み、インターネットやパーソナルコンピュータ(パソコン)、スマートフォン(スマホ)などの情報通信技術(ICT)をさらに活用して仕事をし、生活をする未来が近づいています。
一般社団法人クリエイティブシティ高梁推進協議会は、今年度(2021年度)、岡山県備中県民局提案型協働事業に採択された「ICTクラブ高梁」で、子どもたちがデザインやものづくりなどクリエイティブな活動を楽しみながら、ICTに親しむ講座の提供を行いました。アニメーション文化学部もこの事業に教職員やOBが参加し、子どもたちといっしょにICTを活用して、デザインやものづくりで遊び、学んできました。
去る11月13日、ICTクラブ高梁の今年度の事業の報告をコアにして、高梁市やその周辺地域で始まっているものづくりやデザイン、アニメーション・ゲーム制作などクリエイティブな活動にかかわる教育や、これから始まろうとしている新しい教育活動などについて報告するクリエイティブフェスティバル高梁2021が開催されました。アニメーション文化学部も、岡山県立高梁城南高等学校デザイン科とともに、このクリエイティブフェスティバル高梁2021に参加しました。
司会は、高梁城南高等学校デザイン科の加賀山悠さんと井上太成くんと、お絵描き系Vtuberの夕凪ユナさん。いろいろ小さなトラブルはありましたが、若い3人の司会と、登壇した講師の皆さんの力で、内容豊かなプログラムのイベントが無事開催されました。吉備国際大学高梁キャンパスラーニングコモンズをメイン会場として、休憩を何回か挟み、4時間の中継を行いました。
アニメーション文化学部は、金叡媛先生が指導したアニメーション作品について、制作した学生のインタビュー録も交えて紹介する上映プログラムで参加しました。今回出展したのは、制作チーム「ガマガマガエル」(河田真希・手塚翔大・山﨑祐樹・石戸夏希・真部尚汰・梶谷碧己)の『ナナシの王様』、荒木颯人くんの『雨の休日』、徳田豊都希くんの『Re』、王子沛くんの『スクールウォーズ』の4作品。
高梁城南高等学校デザイン科は、3つの高校が合併して出来上がった学校の成り立ちから始まり、陶芸やクラフトのようなアナログな活動からレーザカッターを活用するデジタルな創作活動までデザイン科で学べる内容紹介を映像で行いました。
2015年にはじまり、アニメーション文化学部の井上博明先生が実行委員長・審査委員長を務めてきたゲームジャム高梁についても、Unityアンバサダー・岡山Unity勉強会会長のかふうさんが、井上先生とともに、ゲームジャムとは何かに始まり、ゲームジャム高梁の今までの歩みと、ゲームジャム参加に向けてのお誘いと心得を説明しました。
吉備高原都市で事業準備を進めるイノベーションヒルズ株式会社の鈴木肇CEOも、「Diverse Workgroup」という新しい考えの教育について報告しました。イノベーションヒルズ株式会社は、イノベーションを生み出すとともに、一人一人が学び続けそれぞれのよいところを生かしつつ活躍できる新しい教育の場を提供しようとしています。
九州大学情報基盤研究開発センター准教授伊東栄典先生からは、「AI活用時代に適した学び方と生き方」と題して、現在注目を浴びつつあるデータサイエンティストという職業について、また、将来高度な人工知能(AI)が人間の仕事を奪うという経済学者たちの予想があっても、AIを使いこなすことで人間がよりクリエイティブな分野で活躍できる可能性をお話しいただきました。
講演の最後は、クリエイティブシティ高梁推進協議会の石井聡美代表が、今年度開催したICTクラブ高梁の講座について報告しました。新型コロナウイルス感染症の流行もあって十分に講座を開催できなかったものの、来年度以降の足掛かりとなる活動ができたことをお話しいただきました。
最後に、「デジタル時代の学びと地域づくり」と題して、名古屋大学名誉教授・明治学院大学名誉教授の加賀山茂先生を司会として、シンポジウムが開催されました。各登壇者がパネルとなって、活発な議論が交わされました。地域を活性化させ、新しい学びを地域で実践していくためのいろいろなアイデアが提案されました。
地域で始まっているいろいろな新しい試みが将来的に新しい地域の教育を生んだり、学校教育に新しい風を吹き込んだりすること、そして、岡山県の産業や地域振興へと結びついていく予感が感じられたイベントとなりました。