第57回日本学校保健学会が、11月27~28日に、
埼玉県坂戸市の女子栄養大学坂戸キャンパスで開かれた。
土地勘のある方は少ないと思うが、池袋から東武線で約40分かかる所にある。
私にとって、この学会への興味の中心は、
①養護教諭を養成する立場から、②大学生の健康管理に関わる立場から、
そして、③かつて保健体育の教科書の検定や執筆に関わっていた立場から、の3つである。
とはいえ、出席は7~8年ぶりであった。
おかげで、懐かしい人にも会えた。
これも学会出席の楽しみの一つである。
過去の学会の開催地の一覧を見ると、私が事務局長を務めた岡山の学会が、
昭和60年と記載してあり、想定外の多数の参加者があって
混乱したのがついこの間と思っていたのに、
まさに四半世紀経っていることを認識して愕然とした。年を取るはずだ!
その学会で、私は「学校給食」をテーマにしたシンポジウムに
シンポジストとして参加したのだが、
その時座長を務めていただいた高石昌弘先生(当時国立公衆衛生院)が80歳を超えて、
矍鑠として、若々しい声で「対談」されていたのもうれしい驚きだった。
今回は、東京で養護教諭をしている卒業生にも声をかけ、
一緒に参加できたのも楽しい思い出になった。
今回の学会で最も印象に残ったのは、
「変革の時代における養護教諭養成のこれからを問う」と題するシンポジウムであった。
養護教諭の養成は大きく教育系と看護系に分かれる。
しかしこのようなことは他の教員にもあり、
たとえば、理科の教員が教育学部でも理学部でも養成されていることと同様であろう。
東大の村嶋教授は、看護系大学での保健師養成の立場から、
保健師資格を取得すれば、養護教諭2種免許が得られるが、
保健師教育が選択制に向かう中で、今後、多くの大学が養護教諭1種免許が
取得できる方向に向かうだろうとの見通しを述べた。
フロアから、養護教諭は教育職なのに、
医療系の保健師に免許を与えることへの疑問が出されたが、
村嶋氏が健康教育は保健師の主要な専門性の一つであるという主旨の反論をして、
我々の思いをきちんと代弁してくれた。
私見だが、極論を言えば、事業所に産業保健師がいるのと同様、
「学校保健師」がいても良いのではないかとさえ思う。
「保健室を守る」だけならその方がむしろ望ましいのではなかろうか。
それはともかく、学校現場で、
看護系の養護教諭に対する誤解(もしかして反発?)があるとすれば、
保健・医療面のみならず、教育面でも心して養成に当たらなければならないと感じた。
尾瀬