2010 年 12 月 20 日

卒業生からのメッセージ  臨地実習指導者の立場から(2)

私の勤務する病棟は成人看護学実習の慢性期で、学生が実習に来ます。
ただ、心臓血管外科・循環器内科の混合病棟のため、
受け持つ患者によっては急性期ぽかったり慢性期ぽかったりします。

実際に学生3人きて、1人は移植待ちの患者、1人は手術直後の患者、
1人は急きょ手術が決まった患者と、3人3様でした。

学生にとっては良いことだと思いました。
自分の受け持ちは1人でも、実習グループでは3人の患者さんがいて、みんな疾患が違う。
これは、勉強するチャンスだと思います。

クラスメートと共有すると、
沢山の患者の疾患やコミュニケーション方法、
ケア方法が学べます。

同じ疾患でも、患者によってケア方法は違います。
それが個別性のある看護につながりますよね。
自分の思考過程だけでは行き詰っても、
グループ内で情報を共有すると、解決の糸口が見えたりします。

臨床でも言えることですが、看護は一人でしているわけでなくチームでしています。
患者・家族をとりまいて、医師・看護師・薬剤師・理学療法士・栄養士・・・。
色んな人が関わってすることなので、情報の共有は大事なことになります。
なので、学生のうちからグループ内のコミュニケーションを大事にして下さい。

次に、私が3年生の学生にまず言うことがあります。

それは「自分の実習だから、自分が学びたいこと、自分が経験してみたいこと。
それを、きちんと学習してきたら、体験・実習できるように調整は行う。
私の実習ではないから、手取り足とり、あれする?これする?とは言いません。」と言います。

厳しく聞こえますか?

まず、実習は誰のためにするのか。それを考えてほしいからです。
誰のためでもなく、自分のための実習だからです。
そして、自分の実体験から学生のうちに色んな経験をすると、
臨床にでてからすごく役立ちます。

私の時代、小児科実習は丸々2週間、重症心身障害児病棟でした。
そこで、私は経管栄養や吸引の技術について学べました。

臨床に出ると、すぐにこれらの経験は役立ちました。
今では、学内でもできるのかもしれませんが、
臨地実習では学内で出来ないことがたくさん経験できます。
なので、積極的に実習を行ってもらいたいと思います。

そのかわり、学習は必要です。

どんなに、学生の受け持ち患者に必要なケアでも、
根拠や手順・起こりうる合併症すべて言えないと、
言えるまで、実習はしてもらわないようにしています。

また、患者さんの観察点についても同様です。
なぜ、その観察項目が必要なのか、その観察項目を見逃すと患者に何が起こりうるのか・・・
様々なことを関連付けて実習を進めてほしいと思います。

それは、患者さんの命にかかわるからです。

ひとつ兆候を見逃すと、私たちの病棟では再手術ということにもなる可能性があります。
そうすると、誰が一番困るのか、それは患者さん・家族です。
入院がのびることは患者にとって、苦痛以外のなにものでもありません。

手術・治療が終わって順調に退院してほしいからこそ、
適切な観察・ケアを行うことが必要となります。

学生にとっては大変なことだと思います。
しかし、受け持たせていただいている以上は、学生だけれども、
その患者によりよいケアを提供する必要があると思います。
実際に私に当たってしまった学生はいつも頭を抱えていました。
ヒントは出しますが答えは出しませんでした。私、意地悪ですかね(笑)。
答えを教えることは簡単ですが、考えることを学生のうちに学んでほしいと思います。

答えは間違っていてもいいと思います(先生方の立場からはだめかもしれませんが)。
私は思考過程を大事にしたいと思います。
色んなことを考えながら実習を行うと、臨床に出てから役立ちます。

看護は常に考えて、学習が必要です。

カテゴリー: お知らせ