2011 年 5 月 30 日

Findlay大学の留学日記(14) “アメリカ留学で学んだこと”

私にとってはあっという間に過ぎた10か月間のアメリカ留学でした。
私は留学するために仕事を辞めなければならなかったのですが、
仕事を辞めることで失うものより、留学で得られるものの方が大きいと信じて、
仕事を辞める決意をしました。
自分の決断は間違っていなかったと今思っています。

私がアメリカ留学で得たことは、

1)失敗や間違いを恐れない

多くの日本人は、英語を話そうとするとき、文法が合っているか、
発音はこれで正しいのかなどを心配するあまり、
なかなか英語を話せるようになりません。
でも、私のクラスメートは違いました。
彼らはたとえ単語だけつなげたものであっても話します。
それでも意外と通じるのです。
私も最初は自分の英語に自信がなく、積極的に話すことができなかったのですが、
クラスメートの姿を見て、「英語を勉強しにきているのだから、間違って当たり前。
1回で自分の言いたいことが伝わらなくても、落ち込まずにどうにかして相手に伝えよう。
それに、分からなかったら、どう言うのって聞いて教えてもらったらいいじゃないか」と
考えるようになりました。
そのおかげで、英語を話すことの不安感が和らぎ、
友達も認めるほど英語を話す力が伸びました。

一応言っておきますが、
失敗や間違いを恐れないというのは、
語学を学ぶ場合です。
人の命を預かる私達看護職のような人は、失敗や間違い、
知識不足が原因で人の命を危険にさらす可能性、
知らないことの怖さを十分に知っておく必要があります。

2)どんなことでもやってみる

“何もしなくて後悔するより、やってみて後悔する方がいい”とよく言いますが、
私もそう思っています。私は大学の学部の授業も受講しました。
科目は、“日本文化”で、第二次世界大戦時の日系人の強制収容について学び、
学んだことを市内の高校や中学で発表するという内容でした。
受講者は全員アメリカ人だったし、授業のために長い小説を読まなければいけないし、
宿題も多いし、まして私の英語力で高校生たちにプレゼンテーションするなんて、
高すぎるハードルだと思っていました。

実際、授業の内容に半分ほどしかついていけず、うまくも話せず、
恥ずかしい思いもしたので、受講したことを後悔したことが何度もありました。
でも、今振り返ると、苦労して本を読んだので、
今は長い文章を読むことに以前ほどストレスを感じなくなったし、
中学校でプレゼンテーションができたこともいい経験になりました。

そして何より、今まで全く知らなかった日系人の歴史を学ぶことができ、
勉強していくうちにもっと知りたいと思うようになり、
先日、戦時中の日系人看護師についての本を読んだところです。
そこで、私は何かテーマを深く追求していくことが好きなんだな、
だから看護研究が嫌いじゃないんだな(好きとはまだ言えません…)
ということを再確認することができました。

他にどんなことでもやってみるといえば、私はハウスメイトと仲良くなるために、
この年でポケモンの塗り絵をしたり、髪の毛を青に染めたりしました!
今となってはいい思い出ですし、ハウスメイトと共通の話題ができ、
より仲良くなることができました。

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3)自分の意見を声に出して言う

アメリカのクラスでは、自分の意見を言うことでクラスの一員として
認められていくという雰囲気があります。
日本人はあまり授業中に発言しないので、先生と面接したとき、
「恥ずかしがらないで、もっと授業中に発言して、授業に参加しなさい」とよく言われます。
私は最初、日本人以外のクラスメートが、自分の意見を次々に
発言することに本当に圧倒されてしまいました。
彼らは例え前の人と全く同じ意見のときも、発言します。
考え方によっては、彼らは他人の話を聞いていないんじゃないかと
思ったりしたこともあるのですが、
そうではなくて、自分の考えを伝えたいということが前提になっているのだと思います。
時々みんなが発言するので、授業が進まないこともありましたが、授業だけに関わらず、
生活の面でも自分の考えは声に出して言わないと伝わらないのだなと改めて実感しました。
そうしないと、自分の意見を持っていないとか、授業に参加していないという、
マイナスイメージの評価を受けることになってしまうのです。

4)ほめる言葉をたくさん使おう

アメリカではよく「Good job!」とか「Great!」といった褒め言葉を頻繁に使います。
「こんなことでそんなに褒められても…」と気恥ずかしい気持ちになることもありますが、
やっぱり褒められると嬉しいものです。私が自分の英語に全く自信がなかったとき、
いつも先生や友達が、私はそこまで思っていなくても、「Excellent!」とか、
「あなたの英語は上達しているよ」などと言う言葉をたくさん使い、励ましてくれる度に、
もっと頑張って英語を学ぼうというモチベーションが
ぐっと上がったのをよく感じました。(私、単純なんです)
日本は遠慮の文化があり、もし「あなたの英語は素晴らしい」と言われても
「いえいえ、まだまだですよ」と言う人が多いですよね。
でもたまにはアメリカのように、褒めてもらえたことを素直に喜んで
「ありがとう」と言ってみるのもいいんじゃないかと思います。
また私は、今回のこの経験を生かして、後輩を指導するときには、
いいところをたくさん見つけて、褒めて育てたいなと改めて思っています。

5)自分の夢をみんなの前で語る

アメリカでは、「将来の夢は何?」とか
「日本に帰ったら何をするの?」ということを本当によく聞かれました。
授業中にも、自分の夢を発表する機会が何度かありました。
私は留学した当初、帰国してからの自分のキャリアをはっきり決められずにいました。
でも、授業中や、友達に聞かれたときに、何かは言わないといけないので、
なんとなく考えていた、「大学院の博士課程に行きたい」ということを、
とりあえずのつもりでいつも言っていました。
そして今、私は本当に大学院への進学を考えています。
ここで感じたことは、自分の夢は口に出すことで
本当になっていく(のかもしれない)ということです。
みんなの前で夢を言うので、まるっきりウソは言えないし、ある種の宣誓のような感じになって、
最初は曖昧だった自分の夢も、いつしか本当の自分の夢のような気分(錯覚?)になるのです。
これから就職を考えている学生のみなさんや、結婚や出産といった人生の節目を迎えている
多くの20歳代の看護師のみなさん、1年に1回くらいは自分のなりたい看護師像や
今後のキャリアについてみんなの前で発表してみたらどうでしょうか。
言葉することで自分が考えていることが整理できたり、みんなの夢を聞くことで、
相手から刺激を受け、新しいことにチャレンジする原動力が生まれるかもしれませんよ。

6)友情の力

「相手から刺激を受ける」ということに関係しますが、
私は本当に大学院に行くかどうか迷っていました。
でも、私が決心できた理由のひとつに、“クラスメートから刺激を受けた”ということがあります。
日本人の留学生は、私のように1年限りの交換留学生がほとんどですが、
その他の留学生は、アメリカの大学や大学院を卒業することを目標にしています。
家族や友達と離れて、自分の母国語が使えないところで
勉強するって大変なことだと思いませんか。
きっと彼らはアメリカ人の何倍も努力しないといけないし、苦労もすると思います。
中には、出産・子育てしながら大学や大学院進学を目指している
サウジアラビア人のクラスメートも何人かいます。
身近に家族がいない外国で出産・子育てをするって不安も多いだろうと思います。
でもみんなアメリカで大学院を卒業したいという強い思いと気合いを持っています。
私はそんな志の高い友達ができたことを幸せに思っています。
彼らと出会えたからこそ、私も、“彼らができるんだから私もできる”、
“彼らが頑張っているんだから私も頑張って勉強しよう”と思えるようになったのです。
学校を辞めたいと思ったときには、“私は母国語で勉強する分、彼らより苦労は少ないはずだ。
しかも、励ましてくれる家族も友達も近くにいる”と自分に言い聞かせようと思っています。

私は、たくさんの国の友達を作ることができました。
アメリカでできた友達と思い出は宝物です。
また、世界にはいろいろな価値観や文化があって、たくさんの人と話をすることで、
自分の知識を広げることができましたし、相手の話も聞き、
自分の意見も言うという自律(自分をコントロールすること)の重要性を改めて感じました。
彼らとは今流行のFacebookで連絡を取り続けていこうと思っています。

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コメント

彼女は5月中旬に無事帰国しました。たびたびの投稿に感謝します。
彼女の留学を巡っては,同期生や教員はもちろん,
多くの方々からいろいろな反響をいただきました。
今後の活躍を楽しみにしています。

看護学科長 尾瀬

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