9月24日(金)から26日(日)にかけて、「ゲームジャム高梁2021」が開催されました。
ゲームジャムは、数十時間の超短期間、それも即席のチームで、企画・設計・制作・リリースまで、1つのゲームをつくりあげ、発表するまでを体験できるイベントです。このイベントは世界中で開かれていて、若いゲームクリエイターの育成や、クリエイターの幅広い人脈づくりなどのため、活用されています。毎年1月末には、世界中の拠点で一斉にゲームジャムを行う「グローバルゲームジャム」という世界規模のイベントも行われています。
ゲームジャム高梁は、2015年から開催され、昨年はコロナ禍で中止されたものの、今年で6回目を数えました。開発者の多くは、岡山Unity勉強会所属のクリエイター・エンジニアです。岡山Unity勉強会は、毎月「もくもく会」という、もくもくとプログラミングしたり勉強したりする集まりを開催しています。広島や香川、愛媛など中四国の多くのクリエイターのグループとも交流があり、この勉強会に参加することで、幅広いクリエイターやエンジニアのネットワークとつながることができます。
ゲームジャム高梁は、今年(2021年)は、コロナ禍を避けるため、リモート(遠隔)の協働環境として定評がある「Discord」という通信アプリを活用して、オンラインで実施されました。
ゲームジャム高梁2021の後方に活用されたイメージ画は、吉備国際大学アニメーション文化学部のHIMOさんのイラストです。ゲームジャム高梁2021の公式ツイッターのトップ画像・アイコンに使われています。また、HIMOさんのツイッターもご覧ください。
ゲームジャム高梁2021では、24日(土)17時から26日(日)17時まで、48時間の開発時間で、即席5チームがゲーム開発を行いました。完成したゲームは、Unityroom.comで、#ゲームジャム高梁2021で検索して遊ぶことができます。
現在のところ、このサイトからは、 ハイカロリーバイキングと、孤高の剣聖、高度文明の3つのゲームをダウンロードして遊べます。また、こちらからは、The Highest Cakeというゲームをダウンロードして遊ぶことができます。
ところで、ゲームジャムは毎回テーマが設定され、そのテーマに沿ってゲームを開発します。今年のテーマは「高」の文字。この「高」というテーマをどのように解釈して、ゲームを開発するかが、まずは各チームに見せどころです。
「ハイカロリーバイキング」は、昭和の街を舞台に、カロリーの高いものを食べ歩きをしながら走り回りどんどん健康的に太っていこうというゲーム。高カロリーの食べ物を売るお店に突進して、どんどん食べていくと、プレイヤーがどんどん太っていきます。高梁市の「天空の山城」として有名な備中松山城の「猫城主」のさんじゅーろーのイラストも見えますね。
「孤高の剣聖」は反射神経を競う、1プレイヤーアクションゲーム。動物や虫の動き、野原で聞こえてくる音で敵(コンピュータがやっています)の殺気を察知して、タイミングよくボタンを押して敵を斬ります。劇画調のイラストで全体のムードが統一されているのが第一の見どころ。
「高の山嶺~頂を踏破するもの~」(こうのさんれい~いただきをとうはするもの~)は、Oculus Questを利用するVRゲーム。ピッケルを壁面に突き刺しながらどんどん謎の構造物を上っていきます。「高」という文字を模したステージもあります。残念ながら特殊な機器を活用することから、まだネットで公開されていません。
チーム「General Citizen」の「高度文明(こうどぶんめい)」は、「高」度な文明を構築するゲーム。住宅や市場、農場など、文明を象徴するさまざまなものを積み上げて、相手よりもはるかに「高」度な文明を早く築くと勝利です。一つだけの種類のものを積み上げてもあまり高く積み上げられません。手持ちの資金をうまく投資して、うまく複数の種類のものを組合わせて積み上げていくのがコツ。
チーム「GoToSeven」は、メンバー一人だけの「ぼっちーむ」。HSPという開発言語を選んだことから一人で開発することになったそうです。パティシェの女の子がどんどん高くケーキを積み上げていくゲーム。パティシエの女の子のドット絵のかわいらしさがまず見どころかも。
GoToSevenの「The Highest Cake」のイメージ画面。
今回は、オンライン開発と並行して、YouTubeLiveを活用して、オンライン配信を行いました。2019年のVTubrerハッカソンで大活躍した激歌うまVTuberのSugarさんもオープニング司会として登場してくれました。ストリーミング配信について貴重なノウハウも伝授されて、スタッフ全員もう感謝感激!
オンライン配信は、吉備国際大学の学生スタッフが大活躍。クリエイティブシティ高梁推進協議会の石井聡美代表をはじめ、吉備国際大学心理学部のTakeさんとKakaoさん、アニメーション文化学部の夕凪ユナさんが、ストリーミング配信のスタッフとして奮闘しました。岡山理科大学の大学院生ラジアンさんも配信をサポートしてくれました。どうもありがとー!
夕凪ユナさんは、配信の司会としても、東京国際工科専門職大学の山根信二先生といっしょに活躍してくれました。山根先生は、石井代表といっしょに、ゲームジャム高梁を始めた仕掛け人のひとりです。
最終日閉会式では、「高梁賞」、「方谷賞」(ほうこくしょう)、「さんじゅーろー賞」の3賞の授賞がありました。審査委員長は、吉備国際大学アニメーション文化学部教授井上博明先生。井上先生は、プロデューサー歴40年を超える大ベテラン、現役のプロデューサーです。
「高梁賞」は、ゲームジャム高梁の地元である高梁市の名前を冠したもの。「方谷賞」は、幕末から明治にかけて活躍した高梁の偉人山田方谷(やまだほうこく)にちなんだものです。そして、「さんじゅーろー」は、西日本豪雨災害のあと備中松山城で見つかって、それからお城の城主になったネコの「さんじゅーろー」の名前がついた賞です。
井上先生と石井代表の厳正な審査の結果、「さんじゅーろー賞」は「高度文明」、「方谷賞」は「孤高の剣聖」、「高梁賞」は「ハイカロリーバイキング」がそれぞれ受賞することとなりました。
開発に参加したクリエイターにとっても、配信をがんばったスタッフにとっても、苦しくも楽しい48時間でした!来年はリアルでみんなが会えるといいですね。