2019 年 12 月 13 日

12月12日 フィールド実習

今回は秋学期フィールド実習のハイライト、
タマネギ移植でした!

思えば10/3に種まきをしたのですから、
あっという間の2か月です。
あの頃はまだ暖かかったのに、
今ではすっかり寒くなりましたね。

タマネギは寒くても元気!

まずは盛野先生から苗の取り方を習います。

土が硬くなっているので、
フォークで土をほぐしてから。

(ちなみに、食器のフォークに似ているからそう呼ぶのではなく、
順序が逆で、こちらの農機具のほうが先なのです。
これに似ているから食器のほうもフォークと呼ぶのですね。)

寒くても、みんな和気あいあいと作業をしています。

春学期に比べると、
作業分担が出来るようになってきて、
効率がよくなってきたように感じます。

そのあとで苗を取って、
ある程度まとまったらヒモでくくります。

話は変わりますが。

植物を育てる以上、避けて通れないのが病気です。
タマネギの場合、
・軟腐病
・黒斑病
・べと病
・灰色腐敗病
・灰色かび病
・白斑葉枯病
・黒腐菌核病
・小菌核病
・・・などなどが知られています。

このうち、灰色かび病・小菌核病・灰色腐敗病は、
どれも糸状菌のボトリチス属に分類される、
以下の菌によって引き起こされます。

Botrytis cinerea 灰色かび病菌
B.byssoidea 菌糸性腐敗病菌
B.squamosa 小菌核性腐敗病菌
B.tulipae 菌糸性腐敗病菌
B.allii 灰色腐敗病菌

この手の病気がやっかいなのは、
土に菌が残ってしまうこと。
次に植物を植えてもまた感染してしまうのです。
つまり、早め早めの対策が必要なのですね。

ありがたいことに、現在では、
これら糸状菌の原形質膜に作用する薬剤が開発されています。
苗をこの薬剤に浸すことで、一斉に防除できるのです。

さて、話を戻すと。

苗の準備をする一方で、
移植する畝の準備も必要です。

溝切機を使ってまっすぐに線を引いていきます。

これ、簡単そうに見えますが、
「まっすぐに動かす」のはなかなか難しいのです。
耕耘したばかりの土は柔らかいので歩くのが大変だし、
機械も重い。

みんなよく頑張りました!!

この機械はよく出来ていて、
溝を切りながら、同時に等間隔で穴を開けているのです。

その穴に、一つずつ苗を植えていきます。

盛野先生がお手本を見せてくださるのですが、
それがあまりに簡単そうに見えるのです。

実際は、右手の指で苗を一本引き抜きながら、
手首を返して角度を変化させて土に持っていき、
指先できゅっと苗を押し込みながら、
再度手首を返して今度は手の甲で土を寄せる。

この一連の作業を流れるようにするので、
見ている学生は
「こんなの簡単」と思うのですが・・・。

やってみると大苦戦。

丁寧にやるのはもちろん大事ですが、
農作業はスピードも大事。

この数か月のフィールド実習では、
冬野菜をこまごまと植えていったので、
基本的に面積が小さく、
みんなでやると「あっ」という間に終わってしまっていました。

しかし、今回はかなり面積が大きく、
植える苗の数も非常に多いのです。

ということは、いつものイメージで、
ちょっとのんびりやっていたら、
いつまでも終わらない!!

というわけで、
おしゃべりに夢中で手が止まっている学生には、
先生方が「それじゃ終わらんぞー」とハッパをかけて、
なんとか時間内に終了しました。

そして後日談ですが。

みんなでせっせと苗を植えたといっても、
だんだん疲れてくると植え方が雑になってきたり、
そもそも人によってはきちんと植えていなかったりします。

いくら出荷するわけではないといっても、
数か月後に玉ねぎがまばらにしかないのは困りますよね。

圃場を管理してくださっている松坂さんが、
一筋ずつ丁寧に見て回って、
植え方の悪い苗を植えなおしてくださっていました。

学生はこういう「裏方」の仕事を知りませんが、
実習をするためには、
圃場の整備に始まり、苗から肥料の準備、
さらに実習合間の水やりや除草作業や害虫駆除など、
見えないところでいろんなサポートをしてもらっているのです。

ここに気づくことができて、
その見えない力に感謝することができるようになったとき、
「人間力」が一段階、ステップアップするのですが、
さて3月までに気づいてくれるでしょうか。

文責 EH

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