4月10日、11日、淡路島内の老舗酒造メーカー「都美人酒造株式会社」の酒蔵見学に出かけました。
吉備国際大学農学部醸造学科の教員3名・大学生9名は、都美人酒造株式会社(南あわじ市:http://www.miyakobijin.co.jp)を見学訪問しました。
10日
壮観な「天秤搾り」の設備。歴史的な価値を感じるこのシステムは「てこの原理」を利用しています。
実際の重りの重量の数倍もの力でもろみを圧搾することができるのです。
残念ながら、今シーズンの「天秤搾り」は先日終わったそうです。
杜氏さんたちもまばらで、オフシーズンを迎えつつある酒蔵はひっそりとしていました。
しかし、今シーズン最後の「もろみ」はまだいくつか残されていました!!
「天秤搾り」用のもろみのサイズ感と比べると、圧倒的に小さいことに気づきます。
【写真 発酵中のもろみ。麹菌と酵母のはたらきにより、蒸し米からアルコールなどが生じる。微かな原酒の香りを感じる。顔を近づけすぎると、生じた二酸化炭素で窒息するのでご注意を=醸造学科大学生撮影】
粥状のもろみの表面に、ぷくぷくと泡が浮いているのが見えます。
蒸し米に含まれるデンプンを麹菌が分解して糖をつくり、
糖を酵母が分解してエタノール(アルコール)と二酸化炭素を作っている様子を間近に見ることができました。
このもろみは数日後、「機械搾り」で搾るとのこと。
とても楽しみですね!
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11日
発酵の進展がちょうどよいもろみがあり、翌日にもう一度おじゃましました。
原酒が流れ出るようすを見学させていただきました!
【「機械搾り」用の大型重機がゆっくりと、しかし確実に圧力を生み、原酒を搾ります=M.H.撮影】
『ガクン』『ゴゴゴゴゴ』
ゆっくりと、しかし確実に動き始めた「機械搾り」用の大型重機。板状の風船同士の間にもろみを流し入れ、風船の中に水を入れ、押し機で圧力を加えることで、もろみから澄み切った「宝の水」を搾ります。ちなみに、もろみを搾って原酒を得ることを「もろみ引き」というそうです。もろみから押し出されるように見える原酒は、実はもろみから「引き出さ」れ、酒粕から分離されるというわけです。
【「機械搾り」用の大型重機内部の板状の風船=醸造学科大学生撮影】
年代もので味わい深いインキュベーター(培養器)。発酵微生物の培養初期に使用します。
当時、酒造メーカーで働いていた杜氏さんの「手づくり」で作製されたものと思われます。
隣にある真新しいオートクレーブ(高温高圧滅菌器)とのコントラストが印象的でした。
机には製品検査用の試薬・器具がありました。
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後日談
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最後のもろみの搾りは、20日(土)に延期され、実施されたそうです。
熱心な学生が休日早朝の時間を使い、見学したと聞きました。
生き物のはたらきによる生産活動では、工程が大幅にずれることもしばしばです。
杜氏さんの知識・勘・経験に感謝を。
発酵微生物の偉大な力と農家さんの努力に惜しみない拍手を。
きょうもいのちにごちそうさま。
【写真 酒蔵を細部まで見学して大興奮の吉備国際大学農学部醸造学科の大学生らと教員ら=M.H.撮影】
文責M.H.