2022 年 8 月 29 日

夏のオープンキャンパス 3回目(8/28)

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夏のオープンキャンパス第3回目が、日曜日に開かれました。

今年は8月に2度のオープンキャンパスを開くことになったのでしたが、新学期直前にもかかわらず多くの高校生と保護者の方に来ていただきました。
ありがとうございました。

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10月から着任予定の先生にも参加していただき、アニメスタジオへの就職に直結する作画指導をやっていただきました。

横浜から移り住むことになるのですが、昨日の話だと岡山市に新しい住居を見つけたとのことですから、10月以降、懇切丁寧な学生指導が期待されるところです。

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別教室では同時並行して、佐々木先生のイラスト制作指導も行われました。
手慣れた手つきでソフトを扱う生徒さんを目にするのも、最近では珍しいことではなくなってきましたね。

前回の8月7日のオープンキャンパスでは佐々木先生のイラスト講座に参加し、今回は10月着任予定の新しい先生の作画講座に参加するという、とても熱心な生徒さんもいらっしゃいました。

アニメーションの世界は、予想外に、とても・とても広いのです。
自分の適性に向いた分野を探すのはきっと大変でしょうが、それはまたとても楽しい作業でもあります。
臆せずドンドン挑戦してみてくださいね!

佐々木先生が言うには、今や無数のデータを活用して、何と「AIが絵を描く時代」になったのだそうです。
すると私たちは、AIに負けない絵を描くこと、AIをうまく利用して自分の絵を描くことが、大事になってきます。
ここでもまた、挑戦ですね! みなさん、いっしょに頑張りましょう。

2022 年 8 月 25 日

「ゲームクリエイターになるため、大事なことは?」  ICTクラブ高梁第3回講座から

アニメーション文化学部をはじめ、吉備国際大学の教職員・学生や地域の人たちが応援しているICTクラブ高梁の第3回講座が開催されました。

タイトルは、「10年後ゲームクリエイターになる 学校の勉強はゲームにどう役立つか」。8月11日の山の日にオンラインで開催されました。

講師は、ゲーム教育ジャーナリスト・東京国際工科専門職大学講師の小野憲史先生です。小野先生は、長くデジタルゲーム業界を取材・調査してきたジャーナリストで、現在は大学教員として、デジタルゲームの世界で活躍したい学生の指導にもあたっています。国際的なゲーム開発者の団体「国際ゲーム開発者協会日本」(IGDA日本)の名誉理事・事務局長でもあります。

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ゲーム教育ジャーナリスト・東京国際工科専門職大学講師の小野憲史先生

IGDA日本は、子どもたちの教育にも力を入れていて、各地で「デジタルからくり装置作りワークショップ」という子ども向けのワークショップを開催しています。このワークショップでは、参加者みんなでデジタル世界の中にボールが転がっていく「ピタゴラ装置」のような複雑なからくり装置をつくります。プログラミングの知識がなくても、直感的にデジタル世界の部品を組み合わせることで、コンピュータの中にいろいろなものができあがっていくのは、子どもたちに人気のマインクラフト(マイクラ)のようで、大人気です。2018年に、ICTクラブ高梁がある岡山県高梁市で開催した際にも2日間で20人近くの子どもたちが集まりました。

「デジタルからくり装置作りワークショップ」では、ゲームづくりの初歩の初歩を体験することができますが、小野先生によると、いまの子どもたちは、昔のマンガ・アニメ「北斗の拳」風に言うと、「おまえはもうゲームをつくっている」んだそうです。

これはこんな理由です。

小学校でプログラミング教育が始まりました。小学校のプログラミング教育では、ビジュアルな部品になった命令を組み合わせていくとプログラムを作ることができる「Scratch」というプログラミング言語が使われています。

このScratchを活用して子どもたちが最初に作りたいと思い、実際に作っているのがいろいろなゲームです。Scratchは無料で利用できるので、だれでも気軽にゲームを作れる環境が整っているので、これを活用すれば、もうみんなゲームクリエイターになれるというのです。

実際、ほかの分野で活躍しながらアマチュアでゲーム作りを楽しみ、話題を生むゲームを発表する人も出てきました。例えば、お笑い芸人の野田クリスタルさんがつくった「ブロックくずして」は、独創性の高いゲームとして話題を呼びました。

さらに、ゲームの世界はこうした「ホビーゲーム」と有名なディストリビューター(いわゆる「ゲーム会社」)から発売されるビッグタイトル(「AAAゲーム」と呼ばれます)、個人や小企業が独自に開発しインターネットなどで配信するインディーゲームに「三極化」しているそうです。

ゲームを遊ぶ人「ゲーマー」からゲームクリエイターになるには、自己視点で遊ぶ→自己視点でつくる(作って「自分が」楽しい)→他者視点で作る(作ったものを遊ばせて楽しい)と3段階で、自分の視点や行動を発展させていく必要があるといいます。

ゲームデザイナーの柴田賀盆さんは、「だれゲー」という表現で他者視点でのゲーム作りを表現します。つまり、「身近な人の顔を思い浮かべながらビデオゲームを作る」のが、おもしろい、楽しいゲームをつくる基本なのだそうです。プレゼントを贈るときも贈る相手が何を好きかを考えたうえで、いい意味で相手の期待を裏切って楽しませるようなプレゼントを考えますよね。両親や友達、先生など身近な人にゲームを楽しんでもらうとしたらどんなものがよいか…こうしたことを考えると、子どももおもしろいゲームを作ることができるはずだと、小野先生は言います。

小野先生は、障害者福祉施設で入所者の方にゲームを楽しんでもらうイベントを支援した経験があるそうです。このときわかったのは、片手だけで遊べるゲームが意外と少ないことでした。身体の片側がマヒしたり、または、ほかの理由から片腕・片手が使えない人が楽しく遊べるゲームとして、NINTENDO Switch Sportsを選んだそうです。確かに、片手だけ動けば、指先の難しい操作をせずに、バレーボールやテニスなどで遊べますし、複数の人が一度に遊べるので、みんなで楽しめますね。ただ、一部の人には十分に楽しんでいただくことができなかったそうです。

機械・装置やウェブなどが誰でも使えるように配慮することを「アクセシビリティ」といいますが、片手で遊べる、指先で遊べる(指先だけ動けば遊べる)、大きなボタンで遊べる、4人で遊べる、内容がすぐに理解できる、途中で失敗したりゲームオーバーにならないなどの特徴が、障害があっても遊んで楽しめるというゲームには必要だといいます。

たとえば、Microsoft Xbox向けのXbox Adaptive Controllerは、大きなボタンで操作をしやすくして、いろいろな障害がある人でも遊べるようにしたものです。

結局、小野先生は、第2回ゲーム大会のため、先ほど書いたような条件を満たす「つなひきゲーム」「チューチューバトル」という2つのゲームを自分で制作しました。このゲーム制作では作業療法士の奥様のアドバイスから練習タイムやゲームの速度の調節機能などを入れたそうです。こうした工夫で、より多くの人に楽しんでもらえるゲームになったとのことでした。中には足や顎でボタンを押すなど、意外な人が上手だったこともわかったそうです。

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Scratchで自作した「つなひきゲーム」と「チューチューバトル」のイメージ。

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「チューチューバトル」のScratchのコード。

ゲームづくりも、やはり課題解決のための「デザイン」が必要です。これはエンジニアリング(工学)分野では当たり前で、だれのどんな課題をどのように解決し、競合他者と比べて何が優れていて、コストが適正かということを考えないといけないそうです。ゲームを制作するときも計画・実行・チェック・修正のPDCAサイクルが必要で、ユーザーをよく観察してどんな特性・興味を持っているかを知り、そのうえでユーザーが喜んでくれるようにゲームを作り、さらに実際どのように遊んでいるか観察して確認し、必要があれば修正するということが必要になります。

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ゲーム開発のPDCAサイクル。

つまり、だれに遊んでもらうかを明らかにしたうえで、その人たちが喜んでくれるゲームをつくるということが何よりも大事だということになります。

では、10年後いまの中学生や高校生が社会に出て、ゲームクリエイターになるころには、ゲームはどのようなものになっているでしょうか。小野先生は、まず、現在65歳の架空の人物「芸夢好雄(げいむすきお)」さんのゲーム人生をたどって、アナログゲームから現在のモバイルゲームまでの歴史を振り返りました。この歴史を見ると、古いゲームもずっと残り続けることで、ゲームの多様性が増し市場が広がっていく大きな傾向と、ゲームセンターから家庭、個人とゲームがどんどんパーソナルなものになっていくという大きな傾向があるといいます。

そして、現在のゲームは、人気ゲームを見ると、ネットワークを通じて、友達とオンラインで遊べる、そして、何かをつくる・表現するというものになっているといいます。たとえば、マインクラフトフォートナイトポケモンあつまれどうぶつの森シリーズなど。

さらに、10年後には、すべてのものがインターネットにつながり、現実世界が仮想世界によって包み込まれるようになり、人間とモノやデータが協調して動作するようになると、小野先生は予想します。手掛かりになるのは、現代のSFです。

たとえば、SFノベル・アニメの『ソードアート・オンライン』では、五感すべてを接続して没入して遊ぶXRゲーム(「XR」というのは、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)など仮想世界やその技術の総称のこと)が描かれました。また、アニメ『電脳コイル』のように、現実世界の中でゲームを遊んだり、電脳ペットを飼ったりという世界が実現するかもしれません。

こうした世界を予感させるような遊びもすでに登場しています。室内で仮想の潮干狩りすることができるバンダイナムコの「屋内砂浜 海の子」や、ゲーム世界のサウンドをイヤホンから聞きながら街を散策することで、現実世界にゲーム世界を重ね合わせて楽しむことができるソニーの「ロケトーン」などがあります。また、現在体験に70万円かかりますが、情報通信技術(ICT)と、キャストのアクションを活用してテーマパークにスターウォーズ世界を再現した「ギャラクティックスタークルーザー」は、きわめてリアルに映画の中に入り込み登場人物となったような経験ができるホテルです。このホテルはアメリカのウォルト・ディズニー・ワールドの中にあります。

こういった大型施設などを活用して、まるで物語世界の中に入ったような体験ができる演劇作品は、「イマーシブシアター」と呼ばれ、国内でもホテルや大型施設を活用して上演されるようになっています。

このように、社会のDX化とともに、ゲームは現実世界と融合していくと、小野先生は予想しています。その一方で、本当に「これはゲームか?」という意見もあるかもしれません。しかし、小野先生によれば、今までもゲームの歴史は「KGN」で進んできたといいます。つまり「こんな(K)のゲーム(G)じゃない(N)」と言われた遊びがゲームとして認知され、ゲームの世界を豊かにしてきたのが、ゲームの歴史だったというのです。ドラゴンクエストさえも、ハイスコアを競い合うアクションゲームがゲームだと思われていた当時は、「こんなのゲームじゃない」と言われていたそうですよ。

ゲームは目と指と心を動かすと、小野先生はいいます。目を動かし、指を動かすことで、おもしろいと思い感動し心が動く。これは、魅力的な「目標」と目標達成の「手段」、適切難易度の「障害」に相当し、これがゲームの3要素です。現実世界をよく観察すると、こうした目標も手段も障害も見えてきます。そうすると、現実世界を抽象化し、その目標・手段・障害を誇張して体験させるのがゲームだということになるでしょう。

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ゲームは現実世界を抽象化し誇張して体験させる。

逆に、ゲームが現実を抽象化したものだとすると、ゲームを現実に適用することもできるはずと、小野先生は指摘します。ストレスを感じてストレスから解放されるというループを経験することがゲームでも現実世界でも快感を産む原動力になるので、このループをうまく設計できれば、現実世界とゲームを融合させられるといいます。同時に、ゲームは現実のある側面を強調することで、現実を批評するという性質を持つ場合もあります。

将来ゲームクリエイターを目指そうとする子どもたち(中学生・高校生)は、そうすると、まずは現実をよく観察して現実世界がどのように成り立っているか知ることが大事です。さらに、前半の話題で見たように、友だちや先生たちをよく観察して何をしたら喜んでもらえるか考えるのも、ゲームでわくわくし喜んでもらうためには大事です。

こうしたトレーニングは学校生活の中でできます。たとえば、運動会で新しい種目を考案してみるということが考えられます。実際に考えられた新しい遊びとしては、座布団型圧力センサーを使って、おしりを動かすことでトイレをきれいに掃除できるというようなゲームがあるそうです。

小野先生によれば、「ゲームは誰でも作れる」が、そのときおもしろいゲームを作るために大事なのは、「誰かのためにつくる」ということ。その誰かをよく観察し、どうすればその人が喜んでくれるかをよく考えてゲームを作るということが、ゲームクリエイターになる第一歩--これが、小野先生のご講演の結論です。

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講演の3つの結論。

そうすると、ゲームクリエイターになるためには、ゲームをする手を休め、ゲームから手を放し、現実や、身の回りの人に目を向けることが大事だということになりそうですね。ゲームだけにハマっていると実はゲームクリエイターになるのは逆に難しくなってしまうでしょう。ゲームクリエイターになりたいなあという人は、周りの人をよく観察しておしゃべりをしてみるということが、ゲームクリエイターへの第一歩。なのでしょう。

これはたぶんアニメーション制作にもつながる話のように思います。アニメーションを制作して、みんなを楽しませたい、感動させたいという人は、人間に興味をもっていないと、やはり人が見て楽しみ感動し、ときには怖がり、びっくりするといったようなアニメーションをつくるのは難しいかもしれません。好きなアニメーションを見るだけでなく、その外にも目を向けてみることがとても大事なようです。

2022 年 8 月 8 日

夏のオープンキャンパス 2回目(8/7)

大学の夏休み突入とほぼ同時に、夏のオープンキャンパス2回目が開催されました。

今回はまずは、アニメーション文化学科お得意のノボリやタテ看をご紹介致します。
いずれも学生作品をもとにして作っていますので、展示としても楽しんでいただけます。

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前回のオープンキャンパスでお話ししたように、今回は秋学期から就任予定の新しい先生にわざわざ東京から来ていただきました。

そして、「アニメスタジオに通用する本物の作画技術」について、実演とともに講義をしていただいたのでした。

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生徒さんたちは、2枚の原画をもとに中割りの体験を行いました。

初めてのことですから大変なのですが、アニメーションを作るという実感が得られたのではないでしょうか。

集中する背中と指の動きが、もう何だかアニメーターですね。

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別の教室では、いつもの佐々木先生によるイラスト実践講義です。

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美少女を描く生徒さんが圧倒的に多い中で、なぜが鮮魚の鯛?、あるいは、おいしそうなたい焼き?を描いている保護者の方がとても印象に残りました。

CLIP STUDIO PAINT(クリップスタジオペイント)を使うことに少し慣れていらっしゃるような感じでしたが、普段はいったい何を描かれているのだろう???

たい焼き、タコ焼き、大判焼き・・・・・・

忙しくてお昼を抜いたせいか、私の妄想はあらぬ方向にひたすら突っ走るのでした・・・。

2022 年 7 月 30 日

9月卒業予定者の卒業研究発表会

金曜日、9月卒業予定の留学生5名の卒業研究発表会がありました。

5人は全員中国の学生で、1名が論文、残りの4名がアニメーションの制作でした。

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論文の学生は、中国における「特撮」の発展史を扱っていました。

先日、上海のテーマパーク「上海海昌海洋公園」に「ウルトラマン・エリア」が新設されたとのニュースがありましたが、ウルトラマンが中国の特撮に与えた影響はとても大きいのですね。

今では中国でも独自の特撮ものが作られているそうですが、オモチャやグッズと関連付けた製作方法は日本のやり方をそのまま踏襲したものとのことです。

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アニメーション作品はそれぞれが思いを込めて、だいたい3分~5分の尺(長さ)で作られています。

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今回の特色は、コロナ問題を扱った作品が出てきたことです。

確かに彼らは、留学中の真っ只中コロナ禍にぶつかり、中国に一時帰国もできなかったし、帰国しても日本への再入国ができなかったりと、散々な目にあっているのです。

彼らの記憶の中では、日本留学とコロナはこれからもずっと切っても切り離せない関係なのだろうと思います。
それだけにますます、この貴重な留学体験を活かして、これからの人生をたくましく切り拓いて行ってもらいたいと願っています。

2022 年 7 月 29 日

データサイエンティストのお仕事:データサイエンティストは会社でどう、働いているのか

先日1年生の女子学生に、学科の先生はオジサンばかりで区別ができないと言われショックを受けたのですが、今回のブログは、オジサンたちにも実はいろいろいろな人がいるのだということを示すのが目的です。

アニメーション文化学科は、このように多様な方向に関心をもつ人材で構成されているのです。

今回のオジサン「オジサン8号」は、注目の新職業「データサイエンティスト」に関する講演について報告してくれています。

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各地の大学で文部科学省認定のコースができたり、その名前を冠した学部・学科ができるなど「データサイエンス」とそれを実践する新しい職業「データサイエンティスト」が注目されています。

しかし、その実態は……というと、多くの大学生・高校生は知らないかもしれません。アニメーション文化学部の教員(この文章の筆者・オジサン8号)が支援する、高梁市の地域ICTクラブ「ICTクラブ高梁」で、現役データサイエンティストをお招きして、企業で働くデータサイエンティストと、ビジネスで活用されるデータサイエンスの実態についてご講演をいただきました。

講演者は、株式会社サイバーエージェント技術本部Data Tech Labで、データマイニングエンジニアとして活躍する森下壮一郎先生。森下先生は、同社に入社する前は、東京大学・電気通信大学・理化学研究所で、パターン認識などを研究されてきました。

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機械学習とディープラーニング。講師は、森下壮一郎先生(株式会社サイバーエージェント)。

データサイエンティストは「サイエンティスト」と言いながら、大学よりむしろ、大部分が企業で活躍しているそうです。データサイエンスはビジネスと密接に結びついた学問であり、データサイエンティストは企業の課題やニーズに沿ったデータの収集・分析などを行って、その結果をビジネスに生かすための報告書にまとめるのが、重要な仕事だということです。

データサイエンティストになるためには、大きく3つの分野の専門知(専門的知識やスキルなど)を求められるとのこと。まず、統計科学の専門知。そして、計算機科学の専門知。最後に、ビジネスにかかわる特定分野の専門知です。特定分野の専門知としては、たとえば、経済学や心理学、マーケティングなどの知識が求められます。森下先生によると、いろいろな分野出身のデータサイエンティストがいて、これじゃなくてはいけないという道はないそうです。

では、どのようにこうした専門知を身につければいいでしょうか。森下先生の周りでは、情報系の修士課程までは学んでいる方が一般的になってきているそうです。情報系に限らず、心理学、経済学系でも、まずは何らかの専門知を身につけて、そのうえで、他の分野について独学で学ぶというのが、森下先生が知っているデータサイエンティストの経歴では多いそうです。

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情報学科で専門科目を履修した場合の他分野の修得の仕方。

一般的にデータサイエンティストに与えられる課題は、ある程度手順が定まっている課題と、手順が定まっていない課題とでいうと、後者が多いそうです。自分で工夫しながら問題を解いていく必要があるそうです。ただ決まった手順で問題を解いていては、ビジネスで必要な知識をデータの山から取り出すことが難しいし、ごく当たり前な知見しか得られない、またはまったく知見が見えていないということもあるようです。

こうした手順が定まっていない課題を解くためには、ひらめきや工夫が必要ですが、まずは手になじんだ道具(統計学・数学の手法)を一つ手に入れるべきだというのが、森下先生のアドバイスです。たとえば、「固有値分解」などはデータがベクトルとして扱えるときに有効な方法ですが、画像や文章については有効ではないことがあります。しかし現代の人工知能(AI)では、「ディープラーニング」と呼ばれる手法で、どのようなデータもベクトルとして扱えるようになっています。ディープラーニングがよく活用される現在においても、一度身につけた「固有値分解」などの手法が活用できることがあると、森下先生は説明します。

この講演を聴講したあと、森下先生がラボの仲間たちと書いた『データマイニングエンジニアの教科書』(C&R研究所)の目次を見ると、確かに、統計学に関する章(2章、6章、8章、9章)に加えて、計算機科学に関する章(3章、4章、5章、7章、10章)、ビジネスの観点からのデータの解釈・y味方にかかわる章(11章、12章)と、非常に幅広い分野にわたって学ぶべきことがあることが、あらためてわかります。

ところで、森下先生たちの本の重要な特徴は、データサイエンスの倫理に関する章があることです。データサイエンスは科学だから中立だろうと思われそうですが、実はデータの使い方によっては人間の偏見や社会的差別を助長する面があります。そのうえ、データに基づいているということで、その偏見や社会的差別がまるで中立な事実であるかのように受け取られる危険もあります。そのため、データサイエンスの倫理はとても重要な現代的課題なのです。この視点を取り入れている教科書という点で、森下先生たちの本はとても重要だと思います(最近森下先生たちは、『よくわかるパーソナルデータの教科書』という本も出されたそうです。こちらも注目)。

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ビジネスサイクルにおけるデータサイエンティストの役割。

森下先生のご講演に戻ると、データサイエンティストの仕事というと、データの収集(取得)・分析・結果の解釈・報告書作成までと考えられることが多いのですが、実は、データの収集よりも前に、どのような課題や関心があってデータを収集(取得)するかきちんと定義しておかないと、必要なデータが集まらなかったり、余計な個人情報を多数取得してしまったりする可能性があります。前者は明らかに困ることはわかりますが、後者の場合も、個人情報保護法や海外の関連法(たとえば、欧州の一般データ保護規則(GDPR))などが企業活動を規制している現在、余計な個人情報をもつことは、実は企業にとってネガティブなリスクとなりかねません。なので、データの収集(取得)前から、データサイエンティストを加えて、ビジネスの課題や問題意識をはっきりさせる活動(定義)を行わなければならないわけです。

そして、報告書を作り上げたあとも、そのデータの解釈と利用という面でデータサイエンティストの助言や支援が必要なことがあります。データだけを渡されても結局それを活かせず死蔵させてしまう可能性があります。そうすると、データサイエンティストはビジネスについても相当知らないといけないわけですね。

しかし、データサイエンティストも得意・不得意があるので、全部一人でこなすというわけにはいきません。データサイエンティストのチームでの活動・活躍も、こうした得意・不得意を補うのに役立つでしょう。一方で、一般の社会人のデータサイエンスに関する知識や教養が深まることも重要そうです。

講演後の質疑応答で森下先生とお話しして、現在大学でできるだけすべての大学生に数理・データサイエンス・AIの基礎的な教養を身につけさせようとしているのも、多くの社会人がビジネスや社会課題をはっきりさせ、その解決のため、データサイエンティストと共同で働き、データサイエンティストんぽ専門知を活用できるようコミュニケーションできることを目指してのことなのだ…ということがわかりました。

データサイエンスに関する訓練としては、日ごろからニュースを見て、データの分析やその表現が適切か、事実と解釈・主張とを分けているかなどに注意するということが役に立つそうです。これは、高校生からも始められそうですね。

それにしても、非常に幅広い分野の専門知を身につけ、その専門知を日々アップデートしながら、日常的な仕事にもとりくむとなると、データサイエンティストは相当な激務になることもありそうですね。データサイエンティストになるよりも継続するほうが難しいと、森下先生は言います。一生続けられるかどうかというと、新しい職業であることもあってなかなか難しいとのことですが、実際定年間際まで仕事をしているデータサイエンティストもいて、一概には言えないそうえす。何よりも、マネジメント(仕事の割り振りなど)の問題が大きいのではないかということでした。

ここでは伝えきれないほど非常に密度が濃いご講演だったのですが、データサイエンティストは単なる流行の仕事ではなく、21世紀のビジネスで不可欠の職業であることがわかるとともに、(どんな仕事でもそうですが)第一線で働くためには努力と研鑽が相当必要そうだなあと感じました。

2022 年 7 月 22 日

高梁城南高校「まちなか美術館」を回ってきました

岡山県立高梁城南高等学校(高梁城南高校)は、吉備国際大学アニメーション文化学部がある高梁市にある高校です。平成16年に、高梁工業高校と川上農業高校、成羽高校が合併して誕生しました。

同校にはデザイン科があり、昨年ICTクラブ高梁が主催し、地域のクリエイティブ活動と教育を紹介する「クリエイティブフェスティバル2021」では、アニメーション文化学部と協力して、同フェスティバルの準備・運営・進行を務めました。

そうした関係もあって、瀬戸内海放送(KSB)の報道で、高梁城南高校デザイン科が、7月5日から市内6つの中学校で「まちなか美術館」と題した美術展を開催していることを知り、閉館(撤収)する前日の12日に、吉備国際大学から比較的近い高梁中学校、高梁北中学校、高梁東中学校の3校をぐるっと回ってみることにしました。

この展覧会は、高梁市教育委員会と連携し、高梁城南高校が実施するもので、中学の生徒の同校への理解促進と併せて、同校の魅力を地域社会に発信することを狙ったものとのことでした。

雨上がりの蒸し暑い中、電動自転車を飛ばして回りましたが、「おーすごい」「とても上手だなあ」という作品が多く、作品数はそれほど多くありませんでしたが、見ごたえありましたよ。

3つの中学校はどれも自然がいっぱいの環境の中で、背後を緑いっぱいの山に抱かれるような場所に建っています。高梁市の豊かな自然を感じられますね。

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高梁東中学校と、同校で展示された作品。雨上がりの中、背後の山からは水蒸気が立ち上っていました。

津川町の高梁東中学校では、吉備国際大学と同校とのいろいろなかかわりについてお話をいただき、大学と地域の高校・中学校等との交流の大切さを確認しました。

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高梁北中学校と、同校で展示された作品。ホールの壁は木の感触を生かした装飾で、一部だけ見るとログハウスのようにも見えます。

川面町の高梁北中学校は、展示場所のホールがとても印象的でした。木を壁にふんだんに使って、なんだか懐かしい雰囲気。

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高梁中学校と、同校で展示された作品。意外なところで意外な出会いがありました。

高梁の城下町から高梁川を渡った高梁中学校では、昨年クリエイティブフェスティバルをいっしょに運営・進行した卒業生の作品に出合いました。とても真面目そうな彼が、これほど細密で祭りのにぎやかな掛け声や笛の音まで聞こえてきそうな作品を描くとはまったく知りませんでした。意外なところで、知っている人の意外な一面に出会い、うれしい驚きでした。

作品展示と並行して、各学校では、卒業生を含む高梁城南高校の生徒と、オンラインで交流する一幕もあったそうです。昼休みに5-10分間作品や学校生活について話ができたそうです。卒業生の作品を見て、話を聞けると、進学するときも安心ですよね。

8月1日(火)から10月31日(月)までは、第2弾として、市内の病院や公民館、福祉施設等を会場に展示会を計画しているそうです。もっと広く地域住民の方に、高梁城南高校デザイン科の生徒さんの作品を楽しんでもらうことができそうですね。

※生徒・卒業生の皆さんのお名前は個人情報保護のためマスキングしています。しかし、作品を制作されたご本人で、実名等を提示してほしいとのご希望がありました場合は、ootani@kiui.ac.jpまでお知らせください。

2022 年 7 月 17 日

夏のオープンキャンパス 1回目

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夏のオープンキャンパスが、いよいよ始まりました。
今日は、その第1回目です。

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今回から、アニメーション文化学科の学生作品が、キャンパスのあちらこちらで見られるようになりました。
学内でもあまり見る機会がないでしょうから、ぜひともゆっくりご鑑賞ください。

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学科説明の際には、10月から赴任予定の新しい先生の紹介もありました。
その先生は、今回は東京からのZOOM参加でした。どうもありがとうございました。

8月のオープンキャンパスでは、今度は高梁にまで来て下さるそうなので、みなさん、乞うご期待です。

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学科の全体的な紹介の後は、生徒さんたちには、佐々木先生の「現場で鍛えたイラスト実践」に参加していただきました。

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生徒さんたちも手慣れたもので、先生の話を聞きながら、手は勝手にそれぞれ動かしていくのでした。明らかにもう、デジタル時代の申し子たちです。 

8月のオープンキャンパスは、7日と28日に開かれます。

上にも書きましたが、秋学期に就任予定の新しい先生に、「アニメスタジオに通用する本物の作画技術」について、実際に講義をしていただくことになっています。

今年の夏は高梁に、ジブリ(Ghibli)に負けないほどの、熱い風が吹きますぞ!!!

2022 年 7 月 5 日

黄岡師範学院美術学院とのオンライン打ち合わせ

コロナ禍がもたらしたもので唯一いいことは、オンラインでの国を越えての交流にあまり抵抗感がなくなったということでしょうか。

本日、中国の黄岡師範学院美術学院の先生方や、日本語教育を担当する国際交流学院の方々と、これまでの交流の問題点や今後の在り方について、Teamsを使って話し合いを行いました。

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中国支局長と黄岡師範学院美術学院・国際交流学院の先生方

写真の中の2名の先生は、3年前に2週間の研修で吉備国際大学にいらした方々です。
お元気そうで、本当に何よりです。

今回の会議で改めて確認できたのは、

①10年以上にわたる黄岡師範学院美術学院と吉備国際大学アニメーション文化学科との交流を、今後も拡大・発展させていくこと、

②中国においても国を越えての移動制限が次第に緩和される予定なので、来年からはまた留学生の派遣や研修旅行を再開させたい、

ということでした。

こちらからも、黄岡師範学院美術学院を頻繁に訪問できるようになれば、本当にいいですね。

なお、今日分かったことですが、
黄岡師範学院美術学院から本学科に留学し、帰国後現在はあちらのアニメ専任教員になっている卒業生がいるそうです。
懐かしい卒業生の名前を耳にし、今日はとても有難い打ち合わせでした。

2022 年 7 月 1 日

授業 「アニメーション制作演習A」 の紹介②

2年生を対象にしたこの授業では、学生らが幾つかのグループに分かれ、それぞれが自主的にアニメーション作品を一つ作ることになっています。

前回ブログで紹介したのは5月のGW明けでしたが、その後作業は順調に進んでいるのでしょうか。

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出来上がった絵コンテをもとに、作画作業を進めています。今では、ほとんどの学生がデジタルで作画を行っていますね。

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おやおや、シナリオのブラッシュアップかな? それとも、リライトかな? ここで頑張っておけば、後が楽になります。

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一か月の間に、目に見えるものがずいぶん充実してきたように思います。
この調子だと、夏休み前には、一部は動くものが見られそうですね。

そして、夏休み、授業はなくても、アニメ教室は常時開放しておきます。
自由に入室して、作業を進めてください。
実際、授業以外の時にどれだけやれるかで、作品の完成度が決まってきますからね。

さあ、みんな、今年の夏は特別暑くなりそうだけど、それ以上に熱い思いでアニメーション制作に取り組みますぞ!!!

2022 年 6 月 29 日

地域ICTクラブ「ICTクラブ高梁」が第1回キャリアアップ講座を開催しました

高梁市内に、地域ICTクラブ「ICTクラブ高梁」ができました。地域ICTクラブとは、情報通信技術(ICT)の学習や活用を通して、多様な地域の人々が交流する場です。アニメーション文化学部・外国語学部・保健医療福祉学部など、本学の教員が、このクラブを支援しています。

ICTクラブ高梁は、今年JR備中高梁駅前のコワーキングスペース「T2-Base」に、パソコンや3Dプリンタなどのさまざまな情報通信機器(ICT機器)を備える会場を設けることとなりました。

これに併せて、今年度は、若者向けにキャリアアップ講座として、クリエイティブな活動と仕事とをどうやって結びつけていけばいいか学ぶことができる連続講演会を開催することとなりました。

第1回は、「ジモトで音楽をシゴトにする!~地方からDTMで発信するクリエイティブな働き方」と題して、作曲家・サウンドデザイナーの山路敦司先生をお招きして開催されました。

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DTM(デスクトップミュージック)は、パソコンを使って自分の部屋で音楽を作曲・編曲して、演奏することです。

山路先生によると、ボカロ(ボーカロイド)のヒット曲やゲームのサウンドだけでなく、いまの社会で私たちが耳にする音楽やデザインされたサウンドの多くには、何らかの形でコンピュータが関わっているといいます。

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高性能パソコンの価格が手ごろになり、パソコン向けに、さまざまな音を合成して出力できるシンセサイザーや、楽譜が読めなくても思い通りにさまざまな楽音や音を並べて作曲・演奏できるMIDIシーケンサーが登場したことで、個人でもコンピュータ音楽を比較的手ごろに楽しめるようになりました。こうした機能を総合したアプリのことを「DAW」(デジタルオーディオワークステーション)といいます。山路先生によると、無料のDAWもあるそうです。

山路先生は、大阪電気通信大学総合情報学部ゲーム&メディア学科で学生を指導しています。講座では、山路先生の作品に加えて(ビートが効いたラップだけど、京都の町に映えてとてもかっこいい)、ボカロで制作した学生さんの作品も紹介されました。


「東アジア文化都市2017京都」プロモーション映像。クリエイティブユニットのトーチカがディレクター。山路先生が音楽で参加しました。

学生さんの指導経験から、山路先生は、コンピュータ音楽で上達するコツを教えてくれました。

作曲というと難しく感じますが、コンピュータ音楽の作曲で上達するためにはともかく大きな曲を作ろうとするのではなくて、思いついたらすぐに手を動かしてたくさんつくることを目指すといいそうです。シーケンサーでいろいろな音を並べて組み合わせていけば、結構簡単に音楽をつくれます。

その一方で、自分の好きな曲を耳コピー(いわゆる「ミミコピ」)してシーケンサーで再現することを続けていくと、和音やビートのしくみ、音楽の構成などが分析的に学べるので、自分で作曲するのと並行してやってみるといいそうです。クラシック音楽の作曲のトレーニングでも「聴音」という同じような方法があるそうですよ。

こうしたトレーニングをするだけでなく、ともかく人に聞いてもらってフィードバックを受ける、ほめてもらうというだけではなく、批評を受けることも大事だと言います。現代社会では、インターネット上でさまざまな発表の場があるので、人に自分の音楽を聴いてもらう機会はたくさんあります。人に聞いてもらってフィードバックを受けることで、自分自身の音楽を磨いていくことができるといいます。

休憩をはさんでからは、音楽を仕事にするにはどうすればよいかという実践的なお話。会場を見回すと、高校生や若者がとくに熱心にメモを取っているようでした。自分の将来に直接結びつくかもしれない話題ですものね。

山路先生によると、音楽を「ライスワーク」、つまりご飯を食べるための仕事ととらえるか、「ライフワーク」、人生の中で伴侶のように楽しむものととらえるかで、大きく道が分かれるそうです。

作曲・編曲・サウンドデザイン・演奏家・歌手など、正面から音楽をライスワークにするのはとてもたいへんだというのが、山路先生のお話です。音楽が好きな多くの人は、音楽を制作する人・演奏する人々の周囲のさまざまな仕事に取り組んでいるそうです。レコード会社でも広告宣伝や営業の人がいますし、楽器を運ぶ専門の物流業者などもあります。音楽に携わる仕事をしたいという場合には、一度俯瞰的…つまり、一歩立ち止まって、大きく拡げてみて、やりたいことに関わる仕事にどのようなものがあるのか調べてみるとよい。こんな風に山路先生は話します。

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一方で、ライフワークにする、自分が音楽を愉しんでいくという道もあります。これは、直接・間接に音楽にかかわる仕事に就くのではなく、あえて安定した別の仕事を選ぶという選択です。ライスワークは音楽制作に近い仕事(プログラミングやWebデザインなど)、または音楽制作からは離れた仕事を別に持ったうえで、ライフワークとして音楽を愉しむ。ということですね。

インターネットでボカロを操り魅力的な音楽を創り出す「ボカロP」と呼ばれるクリエイターたちの多くもライスワークを別に持ったうえで、ライフワークとして音楽を愉しんでいます。

また、ライスワークとして音楽を仕事にした場合、実感として楽しいこと3割、つらいことたいへんなこと嫌なこと7割とのことです。納期や品質、お客の注文などなどいろいろと大きな制約があったうえで仕事をしなければならないことから、音楽やサウンドが完成したときや実際に発表されたときの大きな喜びはあっても、つらいことたいへんなことがあるのは忘れてはならないとも、若い人向けに注意していました。

そのうえで、現在はインターネットを活用すると、時間や距離の制約を超えて、さまざまな仕事に取り組める時代となりました。音楽などのクリエイティブな仕事となると、東京・大阪に出るという選択が考えられますが、山路先生の経験では、関西にいながら、一度も顔を合わせることなく、東京から音楽の発注を受けて納品したという経験があるそうです。

さらに、ライフワークとして音楽を愉しむ場合には、インターネットにはさまざまな発表の場があります。地方にいながら、ライフワークとして音楽を愉しむには、インターネットが人に聞いてもらうための場をさまざまに用意しているのでともかくよい時代になったわけです。

講演後半の終了後、山路先生と会場との対話もとても活発なものでした。映像作品とコラボする場合の制作の仕方や、DTMに取り組むための具体的なツールの相談、地方で学んだ若者がクリエイティブな仕事につくためのルートなどなど、話題が尽きませんでした。

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今回の講座は会場(コワーキングスペースT2-Base)だけでなく、インターネットでも配信。

パソコンやインターネットなどのICTが普及した現代において、ライスワーク/ライフワークとして、音楽とどうつき合えばよいかいろいろな知識やヒントを得て、考えることができた2時間でした。