
夏のオープンキャンパスが、いよいよ始まりました。
今日は、その第1回目です。


今回から、アニメーション文化学科の学生作品が、キャンパスのあちらこちらで見られるようになりました。
学内でもあまり見る機会がないでしょうから、ぜひともゆっくりご鑑賞ください。

学科説明の際には、10月から赴任予定の新しい先生の紹介もありました。
その先生は、今回は東京からのZOOM参加でした。どうもありがとうございました。
8月のオープンキャンパスでは、今度は高梁にまで来て下さるそうなので、みなさん、乞うご期待です。

学科の全体的な紹介の後は、生徒さんたちには、佐々木先生の「現場で鍛えたイラスト実践」に参加していただきました。

生徒さんたちも手慣れたもので、先生の話を聞きながら、手は勝手にそれぞれ動かしていくのでした。明らかにもう、デジタル時代の申し子たちです。
8月のオープンキャンパスは、7日と28日に開かれます。
上にも書きましたが、秋学期に就任予定の新しい先生に、「アニメスタジオに通用する本物の作画技術」について、実際に講義をしていただくことになっています。
今年の夏は高梁に、ジブリ(Ghibli)に負けないほどの、熱い風が吹きますぞ!!!
コロナ禍がもたらしたもので唯一いいことは、オンラインでの国を越えての交流にあまり抵抗感がなくなったということでしょうか。
本日、中国の黄岡師範学院美術学院の先生方や、日本語教育を担当する国際交流学院の方々と、これまでの交流の問題点や今後の在り方について、Teamsを使って話し合いを行いました。

中国支局長と黄岡師範学院美術学院・国際交流学院の先生方
写真の中の2名の先生は、3年前に2週間の研修で吉備国際大学にいらした方々です。
お元気そうで、本当に何よりです。
今回の会議で改めて確認できたのは、
①10年以上にわたる黄岡師範学院美術学院と吉備国際大学アニメーション文化学科との交流を、今後も拡大・発展させていくこと、
②中国においても国を越えての移動制限が次第に緩和される予定なので、来年からはまた留学生の派遣や研修旅行を再開させたい、
ということでした。
こちらからも、黄岡師範学院美術学院を頻繁に訪問できるようになれば、本当にいいですね。
なお、今日分かったことですが、
黄岡師範学院美術学院から本学科に留学し、帰国後現在はあちらのアニメ専任教員になっている卒業生がいるそうです。
懐かしい卒業生の名前を耳にし、今日はとても有難い打ち合わせでした。
2年生を対象にしたこの授業では、学生らが幾つかのグループに分かれ、それぞれが自主的にアニメーション作品を一つ作ることになっています。
前回ブログで紹介したのは5月のGW明けでしたが、その後作業は順調に進んでいるのでしょうか。


出来上がった絵コンテをもとに、作画作業を進めています。今では、ほとんどの学生がデジタルで作画を行っていますね。

おやおや、シナリオのブラッシュアップかな? それとも、リライトかな? ここで頑張っておけば、後が楽になります。



一か月の間に、目に見えるものがずいぶん充実してきたように思います。
この調子だと、夏休み前には、一部は動くものが見られそうですね。
そして、夏休み、授業はなくても、アニメ教室は常時開放しておきます。
自由に入室して、作業を進めてください。
実際、授業以外の時にどれだけやれるかで、作品の完成度が決まってきますからね。
さあ、みんな、今年の夏は特別暑くなりそうだけど、それ以上に熱い思いでアニメーション制作に取り組みますぞ!!!
高梁市内に、地域ICTクラブ「ICTクラブ高梁」ができました。地域ICTクラブとは、情報通信技術(ICT)の学習や活用を通して、多様な地域の人々が交流する場です。アニメーション文化学部・外国語学部・保健医療福祉学部など、本学の教員が、このクラブを支援しています。
ICTクラブ高梁は、今年JR備中高梁駅前のコワーキングスペース「T2-Base」に、パソコンや3Dプリンタなどのさまざまな情報通信機器(ICT機器)を備える会場を設けることとなりました。
これに併せて、今年度は、若者向けにキャリアアップ講座として、クリエイティブな活動と仕事とをどうやって結びつけていけばいいか学ぶことができる連続講演会を開催することとなりました。
第1回は、「ジモトで音楽をシゴトにする!~地方からDTMで発信するクリエイティブな働き方」と題して、作曲家・サウンドデザイナーの山路敦司先生をお招きして開催されました。

DTM(デスクトップミュージック)は、パソコンを使って自分の部屋で音楽を作曲・編曲して、演奏することです。
山路先生によると、ボカロ(ボーカロイド)のヒット曲やゲームのサウンドだけでなく、いまの社会で私たちが耳にする音楽やデザインされたサウンドの多くには、何らかの形でコンピュータが関わっているといいます。

高性能パソコンの価格が手ごろになり、パソコン向けに、さまざまな音を合成して出力できるシンセサイザーや、楽譜が読めなくても思い通りにさまざまな楽音や音を並べて作曲・演奏できるMIDIシーケンサーが登場したことで、個人でもコンピュータ音楽を比較的手ごろに楽しめるようになりました。こうした機能を総合したアプリのことを「DAW」(デジタルオーディオワークステーション)といいます。山路先生によると、無料のDAWもあるそうです。
山路先生は、大阪電気通信大学総合情報学部ゲーム&メディア学科で学生を指導しています。講座では、山路先生の作品に加えて(ビートが効いたラップだけど、京都の町に映えてとてもかっこいい)、ボカロで制作した学生さんの作品も紹介されました。
「東アジア文化都市2017京都」プロモーション映像。クリエイティブユニットのトーチカがディレクター。山路先生が音楽で参加しました。
学生さんの指導経験から、山路先生は、コンピュータ音楽で上達するコツを教えてくれました。
作曲というと難しく感じますが、コンピュータ音楽の作曲で上達するためにはともかく大きな曲を作ろうとするのではなくて、思いついたらすぐに手を動かしてたくさんつくることを目指すといいそうです。シーケンサーでいろいろな音を並べて組み合わせていけば、結構簡単に音楽をつくれます。
その一方で、自分の好きな曲を耳コピー(いわゆる「ミミコピ」)してシーケンサーで再現することを続けていくと、和音やビートのしくみ、音楽の構成などが分析的に学べるので、自分で作曲するのと並行してやってみるといいそうです。クラシック音楽の作曲のトレーニングでも「聴音」という同じような方法があるそうですよ。
こうしたトレーニングをするだけでなく、ともかく人に聞いてもらってフィードバックを受ける、ほめてもらうというだけではなく、批評を受けることも大事だと言います。現代社会では、インターネット上でさまざまな発表の場があるので、人に自分の音楽を聴いてもらう機会はたくさんあります。人に聞いてもらってフィードバックを受けることで、自分自身の音楽を磨いていくことができるといいます。
休憩をはさんでからは、音楽を仕事にするにはどうすればよいかという実践的なお話。会場を見回すと、高校生や若者がとくに熱心にメモを取っているようでした。自分の将来に直接結びつくかもしれない話題ですものね。
山路先生によると、音楽を「ライスワーク」、つまりご飯を食べるための仕事ととらえるか、「ライフワーク」、人生の中で伴侶のように楽しむものととらえるかで、大きく道が分かれるそうです。
作曲・編曲・サウンドデザイン・演奏家・歌手など、正面から音楽をライスワークにするのはとてもたいへんだというのが、山路先生のお話です。音楽が好きな多くの人は、音楽を制作する人・演奏する人々の周囲のさまざまな仕事に取り組んでいるそうです。レコード会社でも広告宣伝や営業の人がいますし、楽器を運ぶ専門の物流業者などもあります。音楽に携わる仕事をしたいという場合には、一度俯瞰的…つまり、一歩立ち止まって、大きく拡げてみて、やりたいことに関わる仕事にどのようなものがあるのか調べてみるとよい。こんな風に山路先生は話します。

一方で、ライフワークにする、自分が音楽を愉しんでいくという道もあります。これは、直接・間接に音楽にかかわる仕事に就くのではなく、あえて安定した別の仕事を選ぶという選択です。ライスワークは音楽制作に近い仕事(プログラミングやWebデザインなど)、または音楽制作からは離れた仕事を別に持ったうえで、ライフワークとして音楽を愉しむ。ということですね。
インターネットでボカロを操り魅力的な音楽を創り出す「ボカロP」と呼ばれるクリエイターたちの多くもライスワークを別に持ったうえで、ライフワークとして音楽を愉しんでいます。
また、ライスワークとして音楽を仕事にした場合、実感として楽しいこと3割、つらいことたいへんなこと嫌なこと7割とのことです。納期や品質、お客の注文などなどいろいろと大きな制約があったうえで仕事をしなければならないことから、音楽やサウンドが完成したときや実際に発表されたときの大きな喜びはあっても、つらいことたいへんなことがあるのは忘れてはならないとも、若い人向けに注意していました。
そのうえで、現在はインターネットを活用すると、時間や距離の制約を超えて、さまざまな仕事に取り組める時代となりました。音楽などのクリエイティブな仕事となると、東京・大阪に出るという選択が考えられますが、山路先生の経験では、関西にいながら、一度も顔を合わせることなく、東京から音楽の発注を受けて納品したという経験があるそうです。
さらに、ライフワークとして音楽を愉しむ場合には、インターネットにはさまざまな発表の場があります。地方にいながら、ライフワークとして音楽を愉しむには、インターネットが人に聞いてもらうための場をさまざまに用意しているのでともかくよい時代になったわけです。
講演後半の終了後、山路先生と会場との対話もとても活発なものでした。映像作品とコラボする場合の制作の仕方や、DTMに取り組むための具体的なツールの相談、地方で学んだ若者がクリエイティブな仕事につくためのルートなどなど、話題が尽きませんでした。

今回の講座は会場(コワーキングスペースT2-Base)だけでなく、インターネットでも配信。
パソコンやインターネットなどのICTが普及した現代において、ライスワーク/ライフワークとして、音楽とどうつき合えばよいかいろいろな知識やヒントを得て、考えることができた2時間でした。
やらかしました。
アニメスタジオ「えかきや」さんで打合せだー!と勇んで雨の中出かけたものの、アポ取りに失敗して、えかきやの小林美代子社長にお会いできませんでした。とほほ。
えかきやは、岡山県総社市にあるアニメスタジオで、『天気の子』や『名探偵コナン』などいろいろな有名作品にも参加しています。『ポケットモンスター』の1話まるまるを担当する「グロス受け」のローテーションに入っています。

えかきやさんのスタジオ正面。完全に民家ですよね。かわいいステンドグラスが印象的。

えかきやさんの表札……ですよね、たぶん。
さらに、アニメスタジオの一方で、農業にも取り組むという「半農半アニ」というユニークな方針で、昔の商店街の一角に構えたスタジオの手前に併設したギャラリーでは、季節の野菜を販売することもあるそうです(そろそろ再開予定とのこと)。ギャラリーの中には、えかきやさんが手掛けた作品のポスターや、関連するキャラクターのフィギュア、有名アニメーターや漫画家の色紙などが所狭しと飾られています。

この扉を開けると、その向こうには、いろいろなアニメ作品がぎゅっとつまったギャラリーがあります。
本日は、アニメーション文化学部の教員や学生がお手伝いをしている「ICTクラブ高梁」の企画でのご相談だったのですが、筆者の手違いで小林社長とお会いできず途方に暮れるという始末。
でも、小林さんにお声がけをいただいたおかげで、えかきやさん入り口のギャラリーを見学し、えかきやに就職したアニメーション文化学部の卒業生に会うことができました(写真の二人)。

入社5年目のアニメーション文化学部卒業生の福田大二さんと、今年3月卒業の服部賢人さん。
就職5年目で現在は原画マンとして活躍する福田大二さん。大学のパンフレットや広報資料などで、あまりにも何度もお話を聞きすぎて「もう話すことないですよー」とのことだったので、総社の暮らしについて聞きました。総社は暮らしやすいですか?「24時間スーパーがあって便利だし、とても暮らしやすいと思いますねえ」とのこと。最近はだいぶ忙しいこともあって、腰痛や肩こりを感じると整骨院に行くのだとか。座りっぱなしで集中する仕事なので、体のメンテナンスも大事なようです。
3月に卒業し、今年入社したばかりの服部賢人さんは現在研修中。もう何カットかの止め絵(動画の中で、キャラクター等を動かさず表示し続ける絵のこと)ですが、本番のものを書いたそうです。学校で絵を描くのと何か違いますか?「絵を描くことの責任が違いますね。そのせいもあるのか自分の絵が無性に描きたくなって、家に帰ってから、在学中よりも絵を描いています」(服部くん)。「もうぼくのほうは絵を描く余裕はないかなあ」(福田くん)。あーすごい忙しいのね。「そうなんですよね。自分が描いた動画がある作品が放映されると、ちょっと描いてみて、Twitterで宣伝してみるくらいですかねえ」とのことでした。
しかし、二人ともとても明るい顔で(福田くんは「いやー、忙しいっすよ」といいますが)元気そうに活躍しているのでとても安心しました。
もちろん絵や動画の実力は必要ですが、高梁市の吉備国際大学のアニメーション文化学部で学んで、隣の総社市のアニメスタジオに就職する。こんなキャリア選択も、アニメーション文化学部にはあります。
さて、次はいつえかきやさんに行って、小林さんと会いましょうかねえ。ということで、企画を進めなくちゃ!(文責:O)
みなさん、「マジック:ザ・ギャザリング」というゲームを御存知でしょうか。世界中で多くのファンが遊んでいるカードゲームです。カードを組み合わせて「ワザ」を繰り出し、相手と勝負するゲームです。美しいカードはコレクターにも大人気。レアカードはとんでもない値段になるそうですよ。日本でプレイヤーが多い「遊戯王」などのカードゲームの原型としても有名です。
このマジック:ザ・ギャザリングの日本大会「マジック:ザ・ギャザリング日本選手権2022」(2022年5月29日~30日)で、アニメーション文化学部卒業生の小林亮介さんがベスト4に入りました。準決勝で惜しくも敗れてしまいましたが、激闘を勝ち抜いての価値あるベスト4です。
YouTubeでも実況中継された試合の中から、小林亮介さんが勝った第11回戦の模様を下記のYoutubeでご覧ください。
ベスト8メンバーは下記の通り。
詳細は、マジック:ザ・ギャザリングの日本公式Twitterをご覧ください!

GWも終わり授業もそろそろ学期半ばに近づいたので、今回は「アニメーション制作演習A」の様子を紹介してみたいと思います。

この授業は2年生が対象ですが、いくつかのグループに分かれ、1年間でそれぞれ1本のアニメ作品を制作しようというものです。
単位のためには1月末の完成が目標ですが、発表の機会としては秋の大学祭も見逃せません。
ということで、まずは大学祭でプロトタイプを見てもらい、完成版は1月に提出するというのが今後のスケジュールになりそうですね。




まだまだ途中段階ですが、これらが今後どのような作品として完成してゆくのか、とても楽しみですよね。
乞うご期待!

GWの期間中、岡山駅西口の「岡山シティミュージアム」で開かれている「きかんしゃトーマス展」に行って来ました(実は保育園児の孫2人を連れて)。

この作品は、現在では3DCGのアニメーションですが、初期の頃は模型を使った実写のアニメーション(人形劇)なのでした。
会場では、この初期の頃の模型が多数陳列されていましたし、設置されているジオラマでは模型の機関車が実際に走ってもいました(写真撮影可能)。

戦前の英国鉄道をもとにした緻密でリアルな世界観と(だから事故だってあります!)、機関車同士の「友情」や「助け合い」、労働に対する「正直」や「勤勉」といった道徳的な価値観が、この作品の大きな特徴となっています。

ところで、帰りに岡山駅で偶然、アンパンマン電車を見かけました。
機関車そのものが生きたキャラクターとなっている「きかんしゃトーマス」に対して、こちらは単に電車にアンパンマンの姿がラッピングされているだけです。
ですから、電車とアンパンマンは基本無関係です。

オープンキャンパスでお会いした、保育士をしているお母さんの言葉を思い出しました。
「保育園ではもう何十年もアンパンマンを使っているのですが、他のキャラクターは出てこないのでしょうか?」
確かに子どもたちが保育園から持ち帰る様々なものには、先生たちの手によるアンパンマンがいたるところに見受けられます。
簡単に描けて、何にでも組み合わせ可能なのが、アンパンマンの大きな特徴なのですから。
これは、どこまでもリアルに足を据えた英国のキャラクターと、リアルを離れ「かわいい」と「記号」に特化した日本のキャラクターの違いなのでしょうか。

第7波の入り口かと緊張感が増している現在ですが、2号館と4号館をつなぐ通路に、コロナ対策用の大きなポスターが掲示されています。
実はこれは、アニメーション文化学科の学生が制作したものです。
マスクをした猫のキャラクターが特徴ですが、「アマビエ」ならぬ「たまビエ」として、今後も高梁キャンパスを守ってくれることを願っています。
で、あの桃らしきものは、何だ!?


現在、岡山県立美術館で開催中の「ドラえもん展」に行ってきました。
でも、誤解してはいけませんよ。これは、藤子・F・不二雄によるドラえもんの原画展でも、セル画展でもありません。
ドラえもんに関心のある現代アートの作家たちによる、あくまでも「芸術として」の「ドラえもん展」なのですから。
冒頭の絵は、ドラえもんとその仲間たちが特別なヒーローではなく、日常に暮らす小市民的キャラクターであることを想わせます。サザエさんやちびまる子ちゃんたちにしても、完全にベタな暮らしを舞台にしたあくまでも日常的な世界の作品ですよね。
ただ、あまりにハイコンテクストな世界だから、日本人の私たちには居心地がよくても、例えば異文化に暮らす欧米人には違和感しか感じさせないかもしれません。

大きくなったしずかちゃんは、自分の思わぬ成長にちょっと戸惑っているようにも感じられます。
のび太やドラえもんにはわからない、ある時期の少女に特有の感情なのかもしれません。

あの優しくて明るいドラえもんだって、思わすベロを出したくなるような時があるのかもしれませんね。あの有名なアインシュタインの舌出し写真のように。
結局「ドラえもん展」なのに、私たちが普段テレビで見ているドラえもんは、ここにはいないように思えます。それでは、ドラえもんは一体どこにいるのだろうか?
きっと「どこでもドア」の向こう側に隠れているのです。
現代作家による二次創作が今やたとえ「芸術」と呼ばれるようになったとしても、テレビの中のドラえもんは茶の間の子どもたちの前にいるだけだよって。
がんばれ、ドラえもん!

なお、今回のブログ記事では、岡山県立美術館とテレビ朝日の許可を得て、展示物の写真画像を使わせていただいています。
感謝。