
美術史家の高階秀爾先生の『バロックの光と闇』が文庫化されたものです。
私のゼミではアニメの隣接領域である映画やマンガの歴史だけでなく、古くからある文芸、演劇、美術、音楽などの歴史についても学んでいます。手塚治虫は赤塚不二夫はじめ後進の漫画家たちに、「マンガからマンガを勉強するんじゃないよ。」と言って、様々な芸術ジャンルの名作に触れることを勧めていたそうです。
私も、好きなアニメや漫画を楽しむだけでは、アニメや漫画の制作にかかわる人にはなれないと考えます。のみならず、そもそも様々な芸術作品は人生を豊かにしてくれるものです。
そこで今日は高階先生の著作から美術史の話題 : バロックの語源はいびつな真珠です。「いびつ」というのは、盛期ルネサンスに成立していた、完全な表現様式と考えられた古典主義に対するものです。古典主義の見本としてレオナルド・ダヴィンチとラファエロの傑作群をWikipediaを通じて見てゆきました。
古典主義の「高貴な単純さと静謐な偉大さに」対するバロックの特質は、奔放な激しさ、不安定なまでの複雑さ、ダイナミックな動きなどです。その例として高階先生がp.40で挙げているベラスケス「皇太子バルタサール・カルロスの騎馬像」を確認しました。
まずディエゴ・ベラスケスを検索しWikipediaのページを開き、Englishのページに移り、さらにcontents 8. See alsoにゆき、List of works by Diego Velázquezをclick。
Contents4Madrid(1631-48)の23枚目に目的のものが見つけられます。
画像をclickして拡大し、細部まで確認することができます。アニメの存在しない時代に1枚の絵で動きを見事に表現しているわけです。
netを活用することで美術史の本を、その貧弱な画像情報を大きく補いながら、読むことができます。

昨年末、「アニメ業界で働く」(ぺりかん社)という本が出版されました。
今回は、この本の紹介です。
ご存じのように、アニメ業界でも現在デジタル化は加速度的に進みつつあります。
例えばアニメーターという職種に関して言えば、紙と鉛筆を使ったアナログの作画から、ペンとタブレットを使ったデジタル作画への移行ということですよね。
この本は、そうした最近の社会状況の変化を織り込んだ上で、アニメ業界の様々な職種を紹介していることに大きな特色があります。
職種としては、アニメーター以外に、監督、脚本家、声優、編集、撮影監督、音響監督などが、現場の第一線の人の声を通して紹介されています。
アニメ業界では完全な分業体制によって作品作りがなされているのですが、その制作の流れと個々の工程の内容についても、実にわかりやすく紹介されています。
おそらく高校生を対象にした本だと思うのですが、「アニメが好き!」の後に、何を知り、何を考えなければならないかを、とても丁寧に説明してくれています。
将来アニメに関わる仕事をしたいと思っている人は、ぜひともこの本を手に取ってみてください。
今回は、山本敦之先生が基礎演習(オムニバス形式)で担当されたときの授業内容を、経時的に文字で再現してくれたものです。
さあ、パソコンの前に座ってマウスを握り、人差し指の準備運動を軽く済ませてから、読み始めてください。
Click、click、click、click、click、click、click、・・・ 追体験学習の旅に出発です!

この本は国立新美術館で2015年に開催された「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」という展覧会にともなって刊行された書籍です。
先日の基礎演習でこの本を軸に、マンガの歴史を紹介しました。本書においてマンガについては漫画評論家の中野靖行先生が「マンガ史1989-2015」と題してまとめられています。1989年というのは手塚治虫の没年です。
マンガ作品の数は膨大でその全貌を知ることは至難と思われます。しかし手塚治虫を鍵に、マンガ史に時代区分をもうけて整理することができると考え、それを学生諸君と見てゆきました。そこで、「マンガ史1989-2015」を見る前に、手塚治虫のデビューを発端に様々な作品、作家を紹介しました。
まずnet.で「手塚治虫」Wikipediaを開き、2.3デビュー、赤本の世界へ に行きます。
メトロポリスをclick、記述を読んだあと、外部リンクの手塚治虫公式サイト内作品ページ(マンガ)、(アニメ)を見ました。マンガの方は電子書籍を一部立ち読みもできました。
2.3デビュー、赤本の世界へ にもどって新寶島をclick。ここでも外部リンクの手塚治虫公式サイト内作品ページにも行って、電子書籍の立ち読み。
2.3デビュー、赤本の世界へ にもどって、新寶島(新宝島)の革新性 をclick。マンガにおける「映画的手法」の導入についての議論などを読んだ後、2.4雑誌連載開始 にゆき、鉄腕アトムをclick。記述を読んだ後、外部リンクの手塚治虫公式サイト内作品ページ(マンガ)。鉄腕アトムにもどって、作者没後の作品のうちPLUTOとアトム・ザ・ビギニングを紹介、「手塚治虫」Wikipediaにもどる。
2.9死去 の中のネオ・ファウストをclick。記述を読んで、外部リンクの手塚治虫公式サイト内作品ページ(マンガ)。
また「手塚治虫」Wikipediaにもどって、3.8関係の深い漫画家 に。藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫、横山光輝、松本零士、永井豪、さいとう・たかを、大友克洋、諸星大二郎 をそれぞれ見てゆきました。
手塚治虫が登場し、その斬新な手法に衝撃を受けた人々によってマンガの世界が爆発的に拡大していった時代を、点描によってではあるけれど、振り返ることができたと考えます。
アニメーション文化学科の平見です。
大学では英語の授業を担当している関係で、昨年までは「マンガ・アニメ翻訳概論」という専門科目もやっていました。受講生は多くなかったですが、今は国際化の時代。マンガも英語に訳されて輸出されています。日本語のセリフがどのように英語に訳されるのか、みなさんは興味がありませんか。それを比較していました。
授業で使っていたのは島耕作シリーズ。大人のマンガなので高校生くらいまでの方はあまり読んだことないでしょうか。でもまさに会話がそのまま訳されているので生きた英語が学べます。その前はピーナッツシリーズを使っていました。つまりスヌーピーの4コマ漫画を日本語に訳していたのです。
私の家には数百冊の英語に関しての本があります。言語ひとつ取ってみても、さまざまな角度から研究できることがわかります。自分でも思いもよらなかったような側面が見えてくることもあります。
この授業は一旦終了したのですが、今後ゼミで希望者がいれば再開しようと思っています。
昨年3月に卒業して、今は「米子ガイナックス」に就職している田中尚幸君から、待望の近況報告が届きました。
仕事にも慣れてきている様子がうかがえ、こちらもとても嬉しくなります。
現在の私の主な仕事は、作画、動画編集、広告作成、イベント運営などです。
作画では、アニメ「ガイナタマガー」(6話) https://gainatamager.com/ 、ゲーム「ヒロイン忍法帖 姫影」 http://himekage.com/ に参加していますが、どちらも残念ながら今はまだ配信前の段階です。
制作工程は、作画発注 →作画 →チェック →OK または リテイク、といった感じです。
ガイナタマガーは、YouTubeで第5話までは配信中ですので、ぜひご視聴ください。https://youtu.be/B8JlmGILQpk

延期になっていた「第十次 米子映画事変」(米子ガイナックス主催)は、11月27日(土)、28日(日)に無事開催することができました。さらにその翌月12月19日㈰には、「第十次 米子映画事変 パート2」を開催しました。
(「米子映画事変」とは……映画によって米子の地を“トンデモナク盛り上げよう”と、2011年から開催しているイベントです。 https://www.yonago-eiga.com/ )
配信は、YouTubeで視聴可能です。面白い企画がたくさんありますので、ぜひともご覧ください。https://youtube.com/user/yonagofilm

自分は物販の担当もしていて、ガイナタマガー、ネギマン、プリンセスメーカー等、様々な商品をイベント会場で販売していました。同級生のN村氏も、グッズを買いに来てくれましたよ。
スタッフなので登壇して話したりはしませんが、それでも、「第10回 米子映画宴」の配信の最後のほうにちょこっと映っていたりして(笑)。
パート2では、メインビジュアルの作画も担当させていただきました。

そして何と、3月21日(月)、米子市文化ホールにて、「第十次 米子映画事変 パート3」の開催が決定しました!!
内容は、11月に好評だった「吉川広家と米子城」と、映画事変と共に歴史を重ねた「3分映画宴」の傑作選です!
詳細は、追ってお伝え致します。 乞うご期待!

先日は私の漫画を置いた棚を紹介しましたが、今日はビートルズの書籍を置いた棚の一つを紹介します。
中学の2年の時に、ビートルズのレコードを初めて買いました。あれから来年で50年になります。それ以来、ビートルズの虜になりずっとレコードや本を集めています。ビートルズだけでたぶん数百冊になるのではないでしょうか。この本棚はビートルズ物だけを集めている棚ですが、他にもものすごい数があります。中には参考にならない本もありますし一度読んだらもう読まない本もあります。でも中には面白い、興味深いエピソードの本もあります。丹念な取材を通してその実像に迫ったものは映画のようなストーリーです。
みなさんにも夢中になるものがあるはずです。誰にも負けないくらいの知識は何かしらどこかで役立つものです。まだ見つけられていない人、受験が終わったら早く大学生活の中で見つけて下さい。
オンライン授業で学生がキャンパスに姿を見せいないこの時期、学生の活動をお知らせするブログ記事は難しいので、代わりに学科教員のゼミ紹介をいくつかやってみたいと思います。
第1弾は、平見勇雄先生の「私の本棚 1 私という人間を創ってきたもの」です。

アニメーション文化学科で英語とアニメの歴史、アニメや映像と音楽の関係の授業を担当している平見と申します。今日は私の所有している本をご紹介します。
私は本を読むのが大好きですが、そのきっかけとなったのは、おそらく漫画だと思います。小学校の低学年の時から少年マガジンを近くの本屋に買いに行くのが楽しみでした。テレビが当時の娯楽のメインだった年代。ゲームと言えば、正月の凧揚げやコマ回しなど、昔の唱歌に出てくるそのままのような遊びです。年がら年中となると漫画に行き着きます。
学生にも授業で当時のアニメを見せるのですが、今の学生でも、かつての漫画やアニメは面白いと言います。ストーリーがよくできているのです。私が漫画が大好きだったのもそこにあります。
物を捨てられない性質なので、昔の漫画も全部取ってあります。私の家には本が多過ぎて家に入らないので倉庫に保管してあります。今日の写真はその一部です。私が中学から大学に至るまでの本がメインですが、大学を卒業したあとも「美味しんぼ」という漫画をよく買っていて、それも含めて置いています。
みなさんに一言。本当にアニメの世界に進みたいなら貪欲に自分の引き出しを増やすため、どんどん読んで欲しいと思います。それはいろいろな人間の感情や自分ができない経験を教えてくれるでしょう。
今回も多数の応募、本当にありがとうございました。
吉備国際大学アニメーション文学部において慎重に審査させていただきましたので、その結果をこちらに発表いたします。
個々の作品には本学教員によるコメントを(■印)、応募作品全体については簡単な総評を最後に書かせて頂いておりますので、参考にして下さると幸いです。
来る年の、コロナの一日も早い収束と、皆様方の更なるご活躍を、心よりお祈りいたします。

学校法人順正学園 総長賞 「本の世界へ」 渡邊 希美
■構成が上手いだけでなく、厚みのある世界観とキャラの存在を感じます。細部も練られており豊かです。

吉備国際大学 学長賞 「ひらめき」 小段 ひかり
■強い構成力、色彩の配置や質感が見事です。これにデッサン力がつけば言うことなし。

吉備国際大学 学長賞 「夏の覇者」 じゃくはん
■お祭り感最高です。このまま自信を持って突っ走ってください。

奨励賞 「月夜」 阪根 結衣
■懐かしく優しい世界、マーカーのムラを生かした表現の透明感が好ましいです。

奨励賞 「タニシを探せ」 細田 日
■とにかく楽しい。一つ一つのキャラも練ってあって視線が遊べる絵です。

奨励賞 「Animal marching!」 吉野 蘭楓
■構成が元気いっぱいで、見ていて嬉しい絵です。線と色に厚みがほしいです。

奨励賞 「海宙」 井上 萌生
■アナログでこの色が出せるのは素晴らしい。後は明部が散漫にならないよう明暗構成を整理するとまとまりが出ます。

奨励賞 「雅」 金光 七穂
■強烈な密度に引き込まれます。工芸的な仕上げも素敵です。全体を引き締める「焦点」を意識しましょう。

奨励賞 「deception」 技城さくら
■安定した技術と表現で、見ていて安心感があります。小物のデザインに個性が出せると一層強い絵になると思います。
■総評
総じてレベルの高い回となりました。単なる技術誇示にとどまらず一点突破の個性や世界が見えて充実した選考でした。
伸ばすべき方向のはっきりした人が多かったのも今回の特徴です。楽しんで続けてもらえたらと思います。
VRキャラクターの朝霧けい先生は、年度ごとに脱皮を繰り返しています。
もちろん、外側の脱皮は無理なので、振りをつける人や中の人(声の人)の世代交代や更新ということになります。

始めてけい先生を動かしてみる時、学生はとにかくみんな恐る恐るなのです。
女性を動かすというのも何だか微妙で、男子学生にはちょっと躊躇いが起こりますよね。

可愛い動きに、怒った表情。 笑顔いっぱいに、なぜだか強烈キック!
とにかく色々な動きと表情を試してみたら、録画したものをすべて資料として分類し、パソコン内に保存しておきます。

次に、用途に応じてその資料動画の中から、必要な個所を取り出していくことになります。
左の画面が元の資料映像で、そこから適宜切り出したのが右の画面となります。
学生が自分たちだけでけい先生を動かせるようになるには、それなりの訓練が必要です。
でもそうした学生も、やがて学年が上がればけい先生から順次離れてゆくことになります。
その度にけい先生は、内側で密かに脱皮を繰り返していかなければならないのです。
本当に、誰にも気づかれないように・・・。
計6回で予定されていた黄岡師範学院の授業見学も、今日でようやく最終回となりました。
双方の先生方や学生のみなさん、長期間にわたりご協力ありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
最後に見ていただくのは、前嶋英輝先生による「デッサン基礎」の授業です。

これは授業前の様子ですが、プロジェクターのスクリーンには黄岡師範学院の学生さんらの姿が見えています。
こちらは、前嶋先生と臨時通訳担当の先輩留学生です。
といっても、まだ授業の通訳が出来るほどの日本語能力はありませんので、今はもっぱら雑談専門の担当なのですが。

「デッサン基礎」の授業は、作業療法学科の実習室を使わせてもらっています。
そのため、棚には作業療法に関わる様々な道具類が置かれていて、それらを眺めているだけでも外部の人間には、結構楽しく興味深いのでした。
怒られるかもしれませんが、何だかSFやファンタジーの世界につながる魔法の小道具ようにも想えてきて・・・。 すみませーん!